• 先ほども清水さんからご紹介いただきましたけども、2回目に、ここでやらせていただきます。きょうは、デジタルメディアを切り拓く、ちょっとかっこいいことを言ってしまってますけど、僕、ずっとマンガの海外展開をやっていますので、わりとプロダクトのご紹介、イベントの紹介がメインだったんですけど。私のところは新規ビジネスというか、ビジネス拡大の事例紹介みたいな形で、お話をさせていただきたいというふうに思います。

  • 最初に、自己紹介を私もさせていただきたいんですけども。僕自身は、講談社は2度目の会社でして、最初はパナソニックにおりました。松下電器でしたけども。97年に入っていろいろありまして、2000年から2002年にかけてサンフランシスコとか、あの辺のところで、ずっとスタートアップのビジネスをやってたときに、その辺も今の経験にも生きてるんですけども、そんな経歴です。

  • 戻ってきてからは、ずっと携帯電話をやっていまして。一時、パナソニックの携帯電話というのも、一世をふうびした時期があったんですけども。僕がいた最後は、本当にスマートフォン化に完全に乗り遅れて、もう本当、地獄を見たような最後でした。

  • ただ、携帯電話のビジネスっていうのは、本当にグローバルにやるとすごくレベルが高い、ハードなビジネスだったんですけど、本当に勉強することが多かったです。2010年に講談社に入社いたしまして。本当に携帯電話からマンガになったんですけども、マンガコンテンツを海外ライセンス、新規事業ということをずっとやっています。

  • 前回、こちらのほうに呼んでいただいたときは、ちょうど人気マンガの世界同時配信というプロジェクトをちょうどやったところでして。日本だと、例えばうちだと、週刊少年マガジンだったりそういったものですね。あと作品で言うと「進撃の巨人」だったり、そういったものですね。結構、海賊版にすごくやられてしまっていて、そこをどう対策していくかということで、それはデジタルで海賊版をやられる前に、日本と同時リリースをして、配信していこうというプロジェクトをやっていまして。ちょうどリリースをしたあと、2014年にこちらのほうで少しお話をさせていただいたということです。

  • そのときのテーマが「マンガ世界同時配信」ということでやらしていただきまして。2014年の7月でした。マンガ出たものを、出る前からすぐ英語に翻訳して、配信するというようなものでして。最初12タイトルでやっていまして、現在、19タイトルを今も毎週だったり、毎月配信しています。

  • ずいぶんその辺で、ノウハウも積みましたし、これをどう、次、ビジネスとして拡大していこうかっていうところで、きょうもちょっとお話があります。海外でやっぱりマンガっていうのは、ちょうど僕もいい話だなと思ったのは、リオオリンピックの最後で、それこそゲームとかですか、やっぱり日本のポップカルチャー、コンテンツって世界に誇れるものだというのは、改めて思い知ったというか、うれしい、僕なんかにとっては、演出だったなと思います。

  • やっぱり日本のコンテンツっていうと、アニメとか、コミック、ゲームというのが大きくて。これなんかマンガですけど、北米で見ると、まだまだ紙市場なんですけれども、大体6200万ドル、つまり、大体63億円とか、64億円という市場です。

  • 見ていただくとおもしろいんですけど。一回、すごくでかくなって、ぐっと縮んでいるんですね。これはやっぱり作品的なもので浮き沈みがやっぱりあるビジネスですし、あとはずいぶんネット化に乗り遅れたっていうことで、落ちたっていうところがあります。

  • 2008年ぐらいだと、うちの作品じゃないですけど、非常に有名な「NARUTO−ナルト−」だったり、その前は「ポケモン」だったり、その辺がすごくはやって、マンガ市場大きかったんですけど、1回がくっと落ちました。あと、リーマン・ショックなんかも、もちろんありますが。そんな影響もありましたが、最近はまた少し市場も大きくなってきているというようなのが、今の海外、特に北米における、マンガの展開です。

  • 海外でマンガっていうと、日本でもなかなか出版不況で、今、本屋さんもすごく減ってますし、もっと海外だと減ってるんですね。アメリカなんかだと、ほんとに大手の書店チェーンってもはや一つしかない、バーンズ・アンド・ノーブルという書店チェーンがありますが、それしかない状態です。どんどん、Amazonに行ってましたりとか。あと大体、読み物自身がだんだん読まれなくなってきた時代だなと思っています。やっぱりそこで、海外にビジネスをさらに拡大していこうとすると、デジタルメディアで勝負かけていくっていうのが現実的だと私は思いますし、そこで3つほど理由をちょっと挙げています。

  • やっぱりスピードって意味で、日本と同時に人気作品を海外に投入していけるっていうことで、デジタルのメリット。前回、お話をしたときに、スピード配信ということを言うと、紙のマンガを海外に出そうとすると、大体3か月とか半年くらいかかるんですね。日本から遅れてしまう。その間に海賊版にやられてしまったりということ、大きな問題になってるんですけども。デジタルだと即日くらいで、実は海外に出せるということです。

  • あと、リクープって言われて、出版用語だったり、コンテンツ用語なんですけども。作る制作費だったりの部分を、どう収入でカバーするかっていうところが、やはりデジタルコンテンツっていうのは、その分値段を下げろとか言われるんですけども。やっぱり物を作らない関係上、非常にコストが安くできます。在庫も持たないですし。そういう意味で、今までなかなか難しい作品っていうのも、デジタルだと出せるっていうようなメリットがあります。

  • 例えば、本当にアメリカなんかで受けるマンガなんていうのは、非常に受けがいいのは、すごい戦いがあったりとかですね、アクションが豊富で、そういったかっこいいヒーローが出てくるようなマンガが受けるんですけども。そうでないマンガもいっぱいありますんで、それが一つのマンガの魅力、多様性っていうのも魅力ですので、そういうものも出せるようになりましたと。

  • それから僕、ずっとアメリカにいたときから思ってたんですけど、どこに売ってるのか分からないっていうのが、正直、大きな課題だと思ってます。日本のコンテンツって、アメリカでは相当マイナーなものですので、そもそも、顧客の目に触れないっていうところが大きな課題かなと思います。デジタルですとそこは、なかなか独自の難しさがありますが、より多くのオーディエンスに作品を届けることっていうのが可能になるというふうに考えています。

  • コンテンツビジネス、僕がずっと昔、製造業にいたときと違うなと本当に思うのは、一発のホームランですべてが解決する世界は正直あるんですよね。本当に「ポケモン」だって、誰もあんなになるって思ってない。それが本当に爆発するとすべてを癒やしてくれるという側面もありまして、そういうビジネスなんで、そこは否定しないんですけれども。中長期的に見ると、当然コンテンツって波がありますし、いいものを出せるときはいいんですけど、出せないときもあると。

  • 中長期的にビジネスを安定的に伸ばしていくというのは、わりと僕なんか製造業の発想としてはあるので、強いビジネス基盤を作りたいなと、今思っているところです。従来、出版社とか、アニメとか映画でもそうですけど、大体ライセンスっていうのがメインでやっています。僕の実際、持っている営業としての数字なんかも、実際はほとんどライセンスビジネスでやっていまして、これからお話しする、自分たちで作って自分たちで売るみたいなところは、新規事業っていう位置づけになります。

  • ライセンスっていうのは、いいのはですね、ローリスクであるということです。権利さえ、ぽんと売ってしまえば、全て向こうに責任が行くわけですね。どんな作品選んで失敗しようが向こうのせいだし、それで在庫を死ぬほど抱えようが、こちらは別に痛くもかゆくもないっていうビジネスです。

  • ただ、こういうことをしたいねって言ったときに、当然リスクを取ってないわけですから、自分たちの思い通りにはならないですし、何か新しいことをやろうと、すごくリスクが大きいことをやるなら、ライセンスを受けた人たちはもうかるところだけやりたいわけで。新しいところだけ率先してやるっていう感じのビジネスには、なりえない、ビジネススキームかなというふうに思っています。

  • ここに難しく書いてますけど、昔、僕がパナソニックにいたときは、幸いなことにもともとグローバル企業だったので、現地にも子会社がありますし、別に海外で物を出すってことに関しては、あんまり苦労がないというか、1から作るっていうことはないですね。やっぱりその辺は、電機とか、ソニーさんもありますように、車とかっていうのは、本当に一日の長があって、多分最初はライセンスみたいなことをしてたと、何十年前はですね。

  • ただ、それがどっかでやっぱりこれじゃだめだっていうことで、現地に販社みたいなものを作るということになると。販社だけだとちょっと足りなくなってきて、向こうで物を作っちゃおう、ということで工場を造る。はたまた、最後は商品企画とか全部向こうでやって、アメリカ向けのカムリを作るとか、いうようなビジネスに発展していくんですけども。まだまだコンテンツビジネスっていうのは、本当に、グローバルビジネスの入り口に立ってるような印象を持っています。

  • ですから、簡単に言うと、販売会社みたいなものを自分たちで作って、自分たちでマーケティングして、自分たちで市場を作っていくっていうところをやりたいというのが、きょうのご紹介したいお話です。講談社は、その中でも割りと日本でも大きい出版社なので、昔から実は海外事業をやっています。

  • どんなことをやっていたかというと、例えばお茶とか、空手とか、合気道みたいなですね、非常にわりと日本文化に特化したような本というのも、海外では受けがよかったりするもので、そういうものを現地に出版社をちょっと置いて、英訳して出版するっていう事業をやっていたりだとか。あと、現地の大手と協業して、マンガも実はちょっとやってたりするんですね。紙のマンガなんかも、実は向こうですごく出していて、わりと大きなビジネスになっているんですけども。

  • アメリカというと、出版の集積地ってニューヨークです。6大出版社、5大出版社と言われている、ランダムハウスとか、ハーパーコリンズとか、サイモン&シュースター、全てニューヨークに拠点があります。そこにクラスターとして集積しているので、編集者だったりとか、ライターだったり、いろんな人がいるわけですね。そうすると出版産業というものが、ニューヨークを中心に回っていると。逆に映画なんかはもちろん西、ウエストコースト、ハリウッドなんですけども。出版に関してはやっぱり、伝統系出版業っていうのはニューヨークにあって、講談社もその例に漏れず、そこに拠点を置いているというのがあります。

  • 今回、実は新しい会社ということで、デジタルに特化したマンガを出版する会社を、今回設立したんですけども。ニューヨークから実はあえて離して、サンフランシスコに拠点を置きました。ずいぶん、これ、議論もあったんですけども。やっぱりいろんな意味を込めて、サンフランシスコにしたというところです。

  • それで、出版ってわれわれ全員がそうなんですが、紙のビジネスです。本当に特に経営者に近ければ近いほど、そこで成功した編集者だったりが経営者になってたり。あと、本屋さんとのつきあいの中でビジネスを蓄積されてきた方が、経営陣についてたりするものなので、どうしても発想が紙のビジネス、ないしは本の流通っていうところに寄った考え方になりがちです。ただ、本当にここにいらっしゃる方々、本当にデジタルビジネスに詳しい方が多いと思うので、全く結構、実は本質的にメディアとしては逆のところがあって、ここは本当に難しいところだなと思います。

  • どうしてもニューヨークに今回、新しい会社、デジタルのところを置くと、やっぱりどうしても既得権にとらわれたようなことに。実はもともと、この会社をサンフランシスコに作る前に、ニューヨークでデジタルビジネスやってたんですけど、あまり伸びなかったんですね。

  • これは、でも当然で。ほとんど99%が紙のビジネスで依存している組織に、ちょろっとデジタルをやってみなさいって言っても、真面目にやらないし、そういう人材をハイヤー(雇用)するだけの収入もないわけで、どうしても新規事業のジレンマみたいなところが、すごく散見されたので、本当にスピンオフっていう形をとって、サンフランシスコにその部分だけ出しました。

  • ただ、デジタルの分野っていうのは、出版業の中でも期待の新規事業分野なので、ニューヨークの会社から取ったら、その部分を取られたっていうところで、しがらみであるとかも、正直あったというのが、実態としてはあります。

  • ニューヨーク、先ほど、出版関係の人材の、ある意味、集積地だと言いましたけども、そこで編集者を見つけたりとか、本のマーケターとか、本のセールスを見つけたりは意外と簡単なんですけども。やっぱりデジタルに向いたリソースっていうのが、いなくはないですけども、ことポップカルチャー系に関してはウエストコーストの方が見つけやすいことがあって。

  • やっぱり、テックリソースだったり、新しいビジネスがどんどん生まれてきているのは、西海外のほうが今、デジタルビジネスの方が多いので、そちらのほうにアクセスできることを優先して、サンフランシスコ、ベイエリアに置こうというような決意をしています。

  • 最後は重要だと思うんですけど、さっきも言いましたように、99%紙で潤ってる組織に、新しいビジネスの...(音声が途切れています)...その独立したビジネスを育てるマネージャーを雇って、そいつの報酬はたぶんに成果連動という形でやっているというような会社になっています。

  • これ、Kodansha Advanced Mediaって会社に、名前、したんですけど、サンフランシスコにあります。これ、もう言ってるんですけど、デジタルガレージさんっていう会社と合弁になっていまして、そちらが、サンフランシスコのいい場所なんですけれども、インキュベーションオフィスと言いますか、オープンオフィスがありまして、そこに入居させていただいてます。

  • 日本の方にいちおう社長って形を置いていまして。これは、うちのマンガ事業の担当取締役なんですけれども。現地にジェネラルマネージャーを置いて、実質、このAlvinさんという方が、責任者として事業を運営しているということで。事業概要というふうに書いてますが、特にマーケティングとか販路開拓とか、市場を立ち上げるというところの新規事業開発というところで、焦点を置いたビジネスになっています。

  • 講談社、いろいろ先ほど言いました、ニューヨークにあったりとか、北京とかにも子会社があるんですけれども。わりとやっぱりかちっとした出版社なので、かちっとしたオフィスで、わりといいところにオフィスがあるんですけども。このサンフランの場合は、あえて、オープンスペースのところに、本当、よくサンフランシスコ行かれると、こういう形式のスタートアップ用のオフィスがありますが、隣に座っている人が何している人か分からないというような、オープンオフィスですね。既存の出版社と違うというところも十分見せたかったと。出版社はどうしても本の在庫がすごいので、場所がないとできないんですけども、本当に、デジタルコンテンツをやっている会社なので、特に本の在庫を置くところとか必要ないので、あえて今こういうところでビジネスオペレーションしてもらってます。

  • 伊藤さんのほうも先ほど言われていて、SXSWから、パクった、参考にしたのがありますけども。我々のほうも、この会社作るにあたって、名前はどうしようかというところがあって。安易にいくと「講談社デジタルなんたら」って考えていたんですけども、やっぱり別に新規事業ってデジタルに限った話ではないし、何らか、新しい進んだことをやるというところで、名前ってすごい重要だと思っていまして、結構その、事業のドメインを決めてしまおうというか、私たちはデジタルなんだからデジタルとかやるんだ、というのはおかしいと思いまして、Kodansha Advanced Mediaという形になりました。

  • この会社ってご存じの方いますかね?MLB Advanced Mediaっていう会社で、ここすごく特異な会社で、もともとメジャーリーグって、野球っていうのは、少し前にストライキとか起こしちゃって、ずいぶん前、野球離れっていうことが言われたことが20年ぐらい前にありましたと。

  • そのあと、ずいぶん改革が入って、メジャーリーグってコミッション、いわゆる二十何球団が集まった協会があるんですけれども。そこが例えば、これからはデジタルのほうに舵を切るってことで、MLB Advanced Mediaという会社を作って、完璧にスピンオフして、ここに入ってる人たちは全然野球とは関係ない人たちなんですね。ビジネスサイドから来た、テックサイドから来た人たちで。彼らが何したかっていうと、結局、右のほうにありますけど、いろんなデバイスに対して野球をストリーミングすることとか。

  • 例えば、印象深かったのは、AppleがiPadを初めて出したときに、呼ばれたのは彼らでしたね。メジャーリーグベースボールの人達が呼ばれて、「At Bat」というアプリを出したんですけれども。つまり、すごく革新的だなと思ったのは、今まで2時間半お茶の間に座ってテレビ見てないと、野球って見れない、わりと長ったらしい、つまんねえゲームって言われた時期があったんですけども。今、彼らがやってるのは、1分のダイジェスト版のメジャーリーグのやつを作って、それをスマホでどこでも見れるようにしてるとか。

  • あと、もういろんなスタッツですね。選手たちが打つ、こいつの打率はいくつなんだとか、こいつの防御率はいくらなんだとか、全部それが、インタラクティブにスマホで見れる。そのデータの塊みたいな野球っていうスポーツを、ある意味、デバイスと技術で革新したというところは、僕、すごく新しいなと。で、マンガみたいな出版物って、やっぱり古いって言われることも多いんですけども、結局これって、器の問題なんじゃないのかなというふうに思いました。

  • こういうところからアプローチしていった、MLB Advanced Mediaって会社が、すごく私は参考になりまして、古いものをどうやって今の技術だったりとか、メディアで付加価値をつけるかっていうところは、非常に参考にしているところであります。

  • 先ほども言いました、わりとそれから、まだパクってる、参考にしてるって話になるんですけど、本当にどんどん今、サービスだったり、デバイスは進化してまして、マンガみたいな、エンターテインメントを読む、買う、楽しむことは、本当に無限に広がっていくし、どんどん進化していきますと。そこにやっぱりしっかり乗って、そこについているオーディエンスにしっかり届けていきたいということ。

  • それと、これはマーケティングとかプロモーションになりますけど、今までも本屋に置いておくみたいなことが、コンテンツってマーケティングだったりするんですけども、もう全然そういう時代じゃないということで、さまざまなメディアを通じてより幅広いオーディエンスに紹介したいということと。あとやっぱりサンフランシスコなので、いろんな人たちが寄ってきてはですね、いろんな人たちが新しいことを考えてると。ラボみたいな新しいことをどんどんして、そこはすぐビジネスにならないことも多いですけど、生み出すきっかけ、そしてそこでうまくいったら、それを日本にも取り込もうということでやっています。

  • 例えば今、Amazonが日本でこの前、KindleのUnlimited始めましたけど、うちは実はわりと慎重で、一発目ではマンガを出さなかったんですけど、アメリカでは出してます。やっぱりアメリカで最初、サブスクリプションのモデルがすごく上手くいってるか、いかないか、普及はし出しているので、そこでやっぱり実験的に使ってみて、本家本元の日本でも、ということも、そんなような使い方も、この会社はしています。

  • 先ほど言いましたけど、リクープのラインがすごく下がってコンテンツが出しやすくなりますので、今、1つ取り組んでいるところは、コンテンツの点数を増やすというとことですね。今ですと、ちょっと前、先ほど言いましたように、ニューヨークの紙出版の会社にやらせてるときは、あんまり増えなくてですね。やっぱり点数がないんですね。それをやっぱり、今、点数を圧倒的に増やそうと思っています。

  • やっぱり日本と海外のコンテンツビジネスの違いって、日本はやっぱり、日本のマンガっていうことをいいますと、ものすごいコンテンツの量があるということですね。講談社だけではなく、いろんな会社が毎週、ものすごい数の本を出版し、バラエティーに富んだ作品が出る、その中から、テレビドラマになったり、映画になったり、アニメになったりということで、コンテンツ産業がぐるぐる、ぐるぐる回っていってるんですけども。

  • アメリカの場合は翻訳だったりとか、やっぱり点数が出ない。そうすると、やっぱり商売もかなりそこがリミットになってくるので、しっかり点数を増やしていこうとしています。これ、ずいぶん、新聞とかでも言ってたり、本当にできるのって言われているんですけども。やっぱりここで狙ってるのは、あまり小規模なビジネスとして、そこそこ黒字になりましたって感じにはしたくなくてですね。海外のマンガの伸びているところ、もう少しスケールさせたいというようなことを強く思っています。

  • そのためには、今とは比べ物にならないくらいの点数の作品をリリースして、マンガの分野のすそ野の広さみたいなところをですね、アメリカでも見せつけたいなと思っております。本当にびっくりするぐらい、いろんなことがテーマになるのがマンガでして。例えば、アメリカンコミックっていうと、スーパーヒーローみたいなものがですね、お約束のようについてきて、そういうのって固定概念みたいなものがあるんですけども。本当におもしろいなと思うのが、日本のマンガっていうのは社会的なものすべてがマンガになるというか。

  • 最近ちょっと思ったのが、うちのマンガとかをばーっと見ていくと、介護とかのマンガもあるし、保育士のマンガもあるし。ちょっと、びっくりしたのが、干潟マンガっていって、干潟っていうんですか、有明海みたいなところの生態をマンガ化するみたいなものとか。本当に、なんでもテーマにするというのがマンガの良さで、それだけ点数があるからこそ、やっぱりはねてくる作品も出てくるので、そういうところは実現していきたいなとは思ってます。

  • 点数拡大を可能にするプロダクションの仕組みということで、挙げたんですけども。実は結構、今まで、先ほど言った、ライセンスの場合は、海外の出版社に任せて作らせるんですけれども、あとアニメでもそうですけど、全部字幕とか海外でつけさせますよね。それは講談社の場合は、結構な部分を今、自分でやっています。

  • 先ほど言いましたように、アメリカの方に任せると、アメリカにあった作品を選ぶっていうことは絶対やってくれます。ただし、日本でこれをやりたい、もっと推したいっていうものはあまり選ばない。そういう部分はマンガの可能性を狭めてしまっているところがあると思いますし。今、アメリカ人だけじゃなくて、英語にすれば全世界に配信できるわけで、いろんなとこのオーディエンスに読まれる可能性がある中で、そういうその、作品のアメリカ人のスコープというところに限ったところのリミットを外すっていう意味でも、日本サイドから選んでいく。作品の翻訳、レタリングっていうところも、ずいぶん講談社側でやってます。

  • もちろん日本人がやっているわけじゃなくて、当然、翻訳者は全部ネイティブで、アメリカに住んでたり、日本に住んでたり、いろいろなんですけど。きちんと工程管理をやって、自分たちで品質を...。僕、わりとメーカーなんで、そういう言葉が好きなんですけど、品質を作り込むみたいなことだとか、自分たちでやらないとコストダウンてできない、本当に思います。人に任せていると、絶対コストダウンとかできないと思うんですよ。やっぱり、どこがいい、どこが悪いってことが見えてきて、その学びの中からやっぱり、高い品質の翻訳で安くできるってことが、実感できています。

  • あと、ファイルなんかも、配信ファイルも国内で数万点の電子書籍のファイルを、講談社としては作っていますので、そこに英語版のファイルも乗っけて作るってうことで、逆に数百点しか作っていないアメリカよりも、相場を安くできるっていうこともできてきています。

  • サンフラン側は、プロダクションのほうは日本でやっていて、現地のほうはマーケティングとか、新規販路の開拓というところに特化してもらっています。マンガの場合、結構、どの製品でも一緒かもしれませんけど、BtoBと、BtoCで全然、マーケティングの質が異なります。例えば書店向け、電子書店、例えばAmazon向けとか、Apple向けに電子書籍のフェアをやりましょうとかは、完璧にBtoBのマーケティングですけども、そこはまともな人たちがやる世界ですね。BtoCとなると、オタクのファンタジーに対して、この作品がおもしろいよ!とか、もっとこれ読もうよ!みたいなことになると、かなりまともじゃない人が必要になるところですね。

  • マーケターといっても全然違って、BtoCのオタク向けのマーケティングやる人たちは、やっぱりネクタイとかしていること自身がおかしいとか、お前、違う!とか言われちゃうようなとこなんで、どういう人をリクルーティングするかとか、どういうミッションを持たせるかというとこが、非常に気を遣って苦労したところです。いい人を見つけて...、ただ、なかなかマネージャーとしては、BtoCのマーケティングとしては難しい人ですけど、おもしろい人材がいます。

  • やっぱり、マーケティングの部分っていうのは、日本からとか日本人だけじゃ非常に困難なところで、コンテンツってすごく日本でも作っている編集者っていうのは、特に国語力が高い人間が本作ってたり、編集したりしてるわけですよね。それが、あんまり日本人で、どんだけ英語うまいと言っても、それは限界がありますし、やっぱり現地で卓越したコミュニケーションができて、良さまで伝える、感動まで伝えるっていうことをやろうとすると、非常に困難な部分なので。

  • ここはやっぱり、いかに技術が進んで、全ての物が日本からコントロールできるようになったとしてもですね、現地でフロントラインに立ってマーケティングをする人間ていうのは、やっぱりローカルである必要があるのかな、と強く感じています。

  • 採用、ミッションの理解、コミットということで、やはりスタートアップとしてやっていきたい、新しいビジネスとして作っていくっていうことを、しっかり理解してもらうっていうことには、すごく時間をかけましたし。先ほど言いましたように、コンテンツ面と技術面、先ほど伊藤さんの話にもありましたけど、そういうのを合わせ持った人って相当少ないので、そういう人を見つけ出すということと、やっぱりそこからコミットを引き出すっていうことは、非常に苦労した点で。相当、人が最初見つからなくて、苦労したところであります。

  • どんどん今、販路の拡大をしてまして。Amazonとか、NOOKとか、Koboとかって聞いたことがあると思いますけど、これは一般的なビジネス、電子書籍書店ですね。右にあるOverDriveってとこなんかは、図書館向けの電子書籍の配信ベンダーです。

  • 図書館っていうのも、結構ティーンエイジャーもいっぱい行くので、アメリカの場合、マンガのすごく大きな販路になるんですけれども、どんどん図書館も電子化されてきてるので、有望なチャネルになっています。その下のは、広域のディストリビューターだったり、いろんな新しいジャンルの販路にコンテンツを流しています。

  • あと意外と、こういうのって当たり前なんですが、日本でよくあるマンガのデジタルコミックのマーケティングの手法として、マンガって結構長く続きます。例えば、集英社さんの「ONE PIECE」って70巻とか、「こち亀」とか、もう180巻とかいっちゃうわけですけども。やっぱり、1巻からずっと買っていくとこって、1巻を買わせるとか2巻買わせるとか非常に重要な手法で。

  • 最近、日本で本当に多いのは、本って実はずっと再販制度なので、値段が決まってましたと。1巻目をただにするとか、1巻目を超安くして、2巻目、3巻目で、面白くて買ってもらうっていう手法が多いんですけど、アメリカでは、ほとんどそういうことをやってなかったんですね。

  • というのは、そういうノウハウっていうのが実はあんまりなくて。ただ、自分たちで会社を作ってやってみると、日本で成功して、わりと日本でマンガっていうのは主要なものですから、マーケティングの手法とかノウハウがすごくたまっていて、そういったものを海外向けにアレンジして出すっていうようなことをやれたりしています。

  • あとはですね、講談社が持っている一つの大きな強み。これはわれわれ、物というかコンテンツを作っている会社ですので、クリエーターとの大意とかですね、そういったものはすごく持っています。海賊版の話はさっきからずっとしてますけど、海賊版っていうのは、我々の作ったものを、パイレート、盗んで、そのまま無料で配信するっていうことですけども、やっぱりそれを作ってるクリエーターのコンテンツを出せるのは、やっぱりわれわれ出版社だけが持つ強みだと思っていますので。

  • 例えば、こういったものもマーケティングに使ったりしていって。こういう例えば、ビデオを作ったりして、SNSで公開したり、有名なマンガ家さんに絵を描いてもらって、ドローイングの風景とか、本当に職人のように作っていくんですけれども、そういったものをウェブ上で公開したりして、一つの引きのコンテンツにしたりしています。

  • ちょっと早回しなんですけれども。(映像を見ています)あとはインタビューを再三やってみたりとか、いろんなクリエーターだけが作画のときとか、この作品を生み出すにあたって苦労した点をいわゆる開発秘話みたいな形で語るようなことを多数、ウェブのコンテンツとして展開をしています。

  • サンフランということで、いろいろ、先ほどのソニーさんの話もありましたけれども、マンガというものとテックのコラボということで、いろいろやってまして。これはFOVEっていう会社がありますけども、アイトラッキングのヘッドマウントで、これは視点の動きでマンガのページをめくったり、ウインクでマンガをグッて拡大したりとかいうことをデモンストレーションしたり。あと最近ですと、リコーさんとかとコラボさせてもらって、THETAっていう360度のカメラでマンガの世界を撮ったりとかいうようなこと、いろんなこともやっています。

  • 9月くらいから...、黒いほうが実は去年の実績でニューヨークでやってたもので、白いほうが...ちょっと見えないですね。すごくおかげさまで売り上げが伸びました。数千万単位で月商の売り上げも伸びているような感じになっていまして。やっぱりやり方だなと本当に思うところでして。すみません、ちょっと見にくいんですけど、売り上げとしては非常におかげさまで伸びている状態で、今後がさらに期待できるなと思っております。

  • 最後なんですけども、やっぱりずいぶん、先ほども言いましたが、結局、既存のやっているところから事業をはぎとったりとかっていうこともやったので、相当、嫌に思った人もいらっしゃったと思いますけど、ただ、それだけやったからということで、新しい会社として成功させなきゃいけないっていう覚悟みたいなものがありまして。

  • あとは本当に、どこの会社さんも皆さんそうで、たぶん、きっと同じような苦労をされると思うんですけども。なかなか、こういうのを一緒に、そんなに簡単にほいほいやってくれる人っているのかなって、実は本当に思います。なんか、うまくいきだしたら、ほいほいって来ますけど、うまくいくまでって、本当に白い目で見られますし、本物の同志って誰なんだろうってすごく考えさせられた、この1年ぐらいだったですね。

  • あとは、ずっと、当然1人で出来るわけないので、上の理解がすごく重要で。当然、お金もかかるし、人もかかるし、時間もかかるわけですけども。常にニュースとして作り続けていくっていうことは、上の人たちはものすごい、いろんな案件を抱えていて。日々、新しい案件とかを抱えていらっしゃるので、その人たちをやっぱり飽きさせないというのが非常に重要だなと、これは本当に何のスタートアップでも言えることなんでしょうけども、継続的な熱狂みたいなのを作り出すことに、すごく配慮、中心にやってました。

  • 最後ですけど、僕、この人にすごく心酔してるんですけど、いいこと言っていて。皆さん、思い出してほしいと。野球は、ラジオでもテレビでもケーブルでも、最初に中継されたスポーツだったと。それは今の時代、デジタルメディアでやってるだけのことですと。

  • 1950年代に花形だったスポーツは、野球、ボクシング、競馬だったそうです。その中で、今でも大衆的な人気を維持しているのは、ボクシングもわりと人気ありますけど、野球だけですと。すごくいい、ぼくらコンテンツ屋さんにとっては、ことを言ってるなと思っていて。メディアっていうのは、どんどん時代に応じて変わっていって、それをお客さんに届ける手法だけが、技術によって変わっていってるんだろうなと思います。

  • そこにやっぱり、なんかに執着しちゃうと、コンテンツごと滅びていくことだと思いますし。やっぱり新しいメディアというのに対して貪欲に乗っかっていく、そこに対して変化を恐れずにやっていっているものだけが、結局、生き残っているんだろうなと思います。

  • ですから、出版はもう終わった、とかいうことは、決して、紙メディアとしてはそうなのかもしれないんですけど、やはり、デジタルメディアとしては、大きなチャンスが国内でも海外でもあると思ってますし、そこはしっかり、掘り下げていきたいなというふうに思っています。前も、実は同じようなことを言ったんですけど、マンガっていうのは結構、作品力とか、ストーリーとかっていうのは、すごくレベルが高いと、私は自負しています。

  • よく海外行くとあるんですけど、マンガが好きで日本が好きになったとかですね、マンガが好きで日本語を勉強したとか、そういう人、よく会うんですね。それぐらい、人の人生変えちゃうぐらい、実は、コンテンツとしては力があるものであって、それを先ほど言いましたように、届け方のほうをしっかり時代に合わせていけば、まだまだ充分、日本でも海外でも勝負できるコンテンツだというふうに思っていますので、まだまだ始まったばかりの会社なんですけども、引き続きやっていって、大きなビジネスにしたいなというふうに思っています。どうもご清聴ありがとうございました。