• 皆さん、こんにちは。富山と申します、よろしくお願いします。3時間目っていうのは、お互いにちょっと不利かなというか。疲れてるでしょうけど。座らせてもらいます。本当は今、湯淺先生がおっしゃったこの2本の作品の話をすることで全部が見えるような、そういうことにもしたかったんですけど、

  • せっかく、皆さんとご一緒するということがあるので、やはり、日本映画の概論的なところの話をしようと思います。そのうえで今日につながる話ということで、ご理解ください。75分間ぐらいですけど、締めるつもりですけど、しゃべりっぱなしの話ですんで皆さんの中で興味を感じたところをメモしておいてもらって後で自分で掘り込んでもらうと。

  • それでも分かんなかったら、湯淺先生経由で聞いてもらえれば僕がお答えできる範囲がお答えしようと思っていますので、そんな感じでよろしくお願いをします。自己紹介については先生がだいぶお話してくださいましたけど、

  • 僕が映画の業界の中でやってきたことというのは、宣伝部の仕事が8年。企画製作というプロデューサーの仕事が三十数年ということですね。実際に、東宝の砧の撮影所というのは成城学園にあるんですけど、その製作宣伝ということで、現場のパブリシティーをやっていた時代。これは1970年代です。皆さんはタイトルとか何か本でご存じかもしれませんけれども、黒澤明監督の「影武者」であるとか、角川春樹さんの「復活の日」であるとか、そういった映画のパブリシティー、現場の宣伝をしていたので、非常に大きい映画の宣伝に現場につくことができた。

  • そのあと、宣伝プロデューサーを4年間やりました。最近、宣伝プロデューサーという仕事にもかなり注目が集まってきているので、興味のある方もいらっしゃるかもしれませんけれども、そのときやった仕事としては、アニメの劇場版の「じゃりん子チエ」というところから始まって、そうですね...。

  • 先日、亡くなられた松山善三監督「典子は、今」というサリドマイドの障害をもった熊本の女の子を実際に主演してもらって、白井のり子ちゃん。そういう映画があったり。テレビのスピンアウトのはしりだった「積木くずし」というものだったり。

  • そんなことをしてそれから撮影所のプロダクション、製作プロダクションの東宝映画にいったというのが経緯です。その東宝映画で30タイトルの映画の製作をしたと。自分自身で企画製作、つまり企画の立ち上げから脚本やってというところから、全体をやったというのも20本以上ありますので、そういう意味では撮影所に30年間、いられたということは大変、幸せなことだったというふうに思っていまして、システム的に今、もう、そういう

  • 人間は各社にいないので、大変、自分自身として貴重な経験をさせてもらったというふうに思っています。今日のタイトルなんですけども、お話にあったように「日本映画界にブレイクスルーは起きるのか」ということでですね、毎年毎年こちらにお邪魔しながら、その年のアップデートをしつつ、エポックやトピックスを探してお話をしようとしているんですけれども、今年は、先ほど出た映画のタイトルなんかも含めて、かなり、そういう区切りの年になってきたのかなという感じもしています。

  • 今日の内容は、3部構成です。3つのチャプターに分けまして第1部はいわゆる新しい時代、映画新時代というものについて検討したいと思います。第2章では、その映画新時代を切り開くために挑戦すべき3つの課題。これがまさしくブレイクスルーということになります。そして、第3章では、この中で映画を目指すという方たちがいらっしゃるかどうかはわかりませんけれども僕は、プロデューサーの立場で、

  • これからの映画人のよりどころとすべき基盤、そんなものを考えながら日本映画界というものを考えてみたいというふうに思っています。就職活動に向かう中で今日は、今日と明日ですか、それぞれの分野、業界の皆さんのお話が聞けるという、大変すばらしいカリキュラムだと思うんですけれども、その中の映画業界研究ということで、甘口な話ではないのでためになるのではないかなというふうには思っています。それでは早速、その最初の部分ですね。

  • その映画新時代というふうに申し上げたわけですけれども、今年7月末、8月にかけての話題は「シン・ゴジラ」でした。「シン」というカタカナの中の、まさに新しいという意味合いで、この映画は、大変新しい映画だったというふうに思っています。この中で、「シン・ゴジラ」見てくれた人いますか?さすがに少ないね...。

  • ありがとう。それは、そろそろIMAXもあきましたので、見てください。この「シン・ゴジラ」って非常に新しい映画ですね。見た方はおわかりになと思いますけど。何しろ情報量が圧倒的なんですね。

  • いってみれば、観客の脳のリセットを迫るようなそういう庵野マジックみたいなものが本当に盛り込まれていたと思います。台本を書いたときに、庵野さんが書いたときにスタッフはこの映画は3時間になる。とんでもないことになるというふうな分厚さだったそうです。庵野さんはそれに対して、自分のよく知っている声優たちを集めて、せりふ部分を全部しゃべらせた。映画をご覧になった方はわかると思います、早口で。

  • 危機状態の中で、人間はゆっくりしゃべらないと。早口でしゃべらせたら、せりふ部分は3時間といわれた映画が1時間30分だったそうです。庵野さんは、ざまあ見ろという顔をしたんだそうですけれどもそれだけ情報量が詰まっているということですよね。それだけではありません。特撮であったり自衛隊の出番なんかも非常に多いです。そういう意味で「ゴジラ」自身を含めて膨大な情報量を2時間に詰め込む。

  • 映像1つとっても、これも直接、スタッフに聞いたんですけど、本隊のカメラマン、監督、監督って樋口氏ですね。到着する前に、庵野さんは自分で先に現場に行って尾上という一緒に特撮をやっている片腕と、もうiPhoneで撮りまくっていたと。

  • それを全部、画面に使っているということで、映画がそういう撮り方で逆に臨場感を出すというようなことを率先してやっている人なんです。なんのために、そういうことをやるかというと、いかにリアルであるかということを追究するためだったんですね。いってみれば、リアルを追求するということと、リアルシミュレーションという両方の意味があるんですけれども、それに加えて、全ての人は当事者、被害者として巻き込まれていくという大群像劇をやろうと。

  • そういう庵野さんの試みがあったわけですけれども。この庵野さんがなぜそういうことをやったかというのは、1965年に岡本喜八監督の「日本のいちばん長い日」という映画がありました。これは、つい去年ですか、原田監督によってリメイクされていますけれども、

  • この1965年の「日本のいちばん長い日」が庵野さんにとっては鑑とすべき、目標とすべき映画だったんですね。これは終戦、敗戦の前日。1945年の8月14日を描いている映画なんですけれども、そういうことであくまでもドキュメントであるかのような描き方を「シン・ゴジラ」でもしていると。いろいろ、そういう意味で新しさというのはあるんですけども、

  • レジェンダリー、ハリウッドの映画もCGで「ゴジラ」を作りましたけれども、今回 日本版もフルCGでやった。なぜCGでやったかということに対する答えとして、樋口監督は、中に人が入れない造形だったからと言っています。もちろん、そのことだけでなく、いろんな意味合いがあったと思いますが、実は、ゲームなんかでも皆さんご存じだと思います。モーションキャプチャー。

  • そのキャラクターを作っといて、フルCGで作っといてそれに対して、人が動くさまをそれに投影させていくと。そういうやり方を映画でモーションキャプチャーといういい方で撮りますけれども、この「シン・ゴジラ」を演じたのは野村萬斎さんだというのは皆さん、ご存じだと思うんですね。知らない人いました?いましたか。つまり、「シン・ゴジラ」っていうのは、主役は野村萬斎だったということなんですよね。これは、樋口監督が「のぼうの城」という映画で一緒に仕事をしたことで、萬斎さんを口説いたと。

  • 非常にこれはすばらしい出会いだったというふうに、作品にとってすばらしい出会いだったというふうに思います。それ以外にも、新しさはたくさんあるんですけれども、その新しさについては後でもう1回触れます。この「シン・ゴジラ」によって日本映画の新しい時代が始まったというぐらいに、実は僕は思っています。まず、その概論というふうに映画概論ということでお話をしたんですけど、これは基礎知識として、一度、聞いておいてください。

  • 映画の誕生ということですね。1885年12月28日。フランス・パリでリュミエール兄弟という2人の人間によって、パリのカフェで上映が行われたというのが、映画の始まりというふうに映画史の中ではなっています。実はその前年発明王エジソンがキネトスコープという動く動画を見せる装置を作ったんですね。でも、それは、箱の中をのぞき込むと。そういう形式のものでしたので、

  • これを映画とはいわなかった。つまりスクリーンに映写して同時に多くの人に見せる。このシネマトグラフというのを映画の始まりというふうにしたわけです。それが1885年の12月28日だったと。そのときから130年が過ぎたわけですけれどもいまや、今お話しした映画というものの存在が非常に揺らいでいる。つまり、何が映画かということですね。

  • これまでは映画館で見るものが映画で、ほかで見るといえば、テレビのモニターで見るぐらいだったわけですけれども。パソコンが加わり、スマホでも映画鑑賞はできるようになった。どんなメディア端末で見ても映画は映画なのか。逆に、いわゆるネット監督なんていう、ネット映画なんていう言い方もありますけど大量に流れ出てくるネット内の映像。それのどれを映画と呼ぶのかと。

  • 先ほどお話した映画の始まりのときのエジソンのキネトスコープというのは、スクリーンでない場所で1人で見るものだったので、映画とは呼ばなかったといっているわけですけれども、現代は、この新しいキネトスコープが、至るところから誕生している時代だということなわけなんですね。ということで、映画とは何かという基準作り、基準探しから始めなければいけない時代だということです。まあ、こういった大変化の発端はアナログからデジタルへの技術革新でした。

  • 映画におけるデジタル化というのは1990年代の前半に、まず映画作りの中の音の分野で始まりました。それから20年かけて、2010年にかけて配給、興行、全ての分野で進みました。デジタル化によって、劣化しないデータとしての映像、音、更には、他メディアへの汎用性など大きなメリットがもたらされたわけですけども、このデジタル化が、圧倒的なスピードで広まった理由、最大の理由はコストの削減でした。

  • つまり、映画産業は21世紀を生き抜くためにデジタル化を選択したということです。製作現場においては製作費の削減、配給サイドとしてはプリントを必要としない、興行においても、劇場スタッフやスペースの削減が進むということですね。まあ、デジタル化の波というのは人間社会全体にとって、まさに産業革命以来の大変革ということだと思います。

  • 先ほど、漏れ聞こえてきた前の授業のお話がやはり、新聞の方でした?電子...、スマホで新聞を読むと。僕なんかも、自分で読むのは毎日ですから毎日は読みますけども、朝日はお金を払わずにトピックスだけ見るっていうね。

  • そんなような形で、もう紙で見る人は本当に減ってくるというようなことが1つ1つ、出版でも起きている。音楽業界は大変なことになってしまったというようなことで、映画界も転換を迫られているということです。その映画新時代のもう1つの側面というのは劇場の新しい展開です。これはシネコンのことですね。シネマコンプレックス。

  • これは、1988年にイギリスで生まれました。日本に来たのは1993年。これからそれから、やっぱりこれも20年ですよね。お手元に、映連の資料をお渡ししていますけれども。これですね。これ、ネットで、ホームページ見てもらうと、もっと細かなデータが出てきますけれども、ここにスクリーン数って書いてあります。

  • 去年と今年の比較があって今年は3437スクリーンということですが、このうちの2996、実に87%が、シネコンによって占められているということです。もう9割近くが日本の映画館はシネコンだということですね。

  • もともとシネコンというのは郊外型のショッピングセンターに隣接するという形でつくられてきたんですけれどもそこに新時代という意味で新しい傾向が生まれているのが、都市型シネコン。ターミナルシネコンの台頭ですね。先ほど、湯淺先生がご覧いただいた新宿のTOHOシネマズ新宿。

  • これもそうです。去年オープンしました。このシネコンがオープンするまでの日本での最大の入場人員、売り上げのサイトは同じ新宿のピカデリーだったんですね。2番目がバルト9だったんですけども、そういうところにもう1つできて、お客さんは減っちゃうのかと。各サイトごとのですね。実際に相対としては2割以上、増えているということで、全体としては増えたけれども、各サイトは少し減るんでしょうが、それでも恐らくこの3つが全国のトップ3になるんじゃないかという風にいわれています。

  • というようなことでターミナルシネコンというのが、これからも上野、池袋、日比谷、渋谷と続々と続々と生まれてきます。これは全国でも、そういう傾向が続いていくと思います。都市型シネコンというのは映画観客の掘り起こしという大きな力になると思うんですけれども、それ以上に今でも、かなり進んでいますけど、26時開映とかね。朝は8時半とかね。つまり、このままいくと多分シネコンは、24時間開いているということに。

  • コンビニとシネコンを行ったり来たりしてれば1日済んじゃうっていう、そういう時代になります。ということで、その生活スタイルを生み出すというのが、ターミナルシネコンであろうということで、鑑賞スタイルもそうやって変わっていくということなんですがまあ、実は、これだけ速やかにデジタル化がシネコンの拡大と合わせて進んだという中で、僕自身は映画作り、作り手としてそのフィルムの優位性というものをずっと思っていましたので、あるとき、あっと驚いたことがありました。

  • 東宝はデジタル化に対しては、NTTの、上からの配信ですね。サテライトからの配信ということで映画を送るということの実験を、2000年代の中盤で進めていたんですけれども僕も知りませんでした。

  • 2010年です。2010年にソニーが発表したんですね。これから1年間で、東宝の劇場は全てデジタル化します。東宝の中でも知ってる人間は数少なかったと思うんです。僕も寝耳に水でビックリしました。業界はもっと驚きました。東宝が、ソニーと組んで、こういうことをやるんだったら、もうデジタル化は止まらないということで、

  • まあ、それまでどうしようと、模様見をしていた全ての興行会社がデジタル化に進んだということで、そういう年が2010年にあったわけですね。ここから本題の第2章ブレイクスルーを3つお話したいと思います。日本映画界が本当に新しい時代を迎えるために、大きな課題があるというふうに思っています。

  • これは、作り手としてプロデューサーの視点から見た必要なことになるんですが、これをぜひ、1つずつお話をしていきたいというふうに思います。その3つというのはですね、まずは、新しい映画観客を生み出すことですね。2つ目は、新しい映画才能を発見して育てると。3つ目は、新しい映画製作と映画利用のシステムを作り出す。この3つというのは全ての業種、

  • 業界にとって必要なことだと思いますね。ユーザーを生み出すということと、作り手を生み出すということと、そのための作り方と、利用の仕方のシステムを作り出すという。それの映画版はどうすればいいのかということなんです。もともと映画というのは、戦後の日本の映画界というのはですね、

  • 戦前、国の統制によって、検閲が非常に厳しくなったということの反省から、自分たちで自主機関としての映倫という自分たちで管理するという、映画の内容を管理するということを始めたわけで。ご存じの方もいらっしゃると思うんです。GとPG12、R15、R18という4つの区分で、お客様の年齢でこの映画をご覧くださいというふうにしているわけですけれども、

  • この映画倫理委員会、映倫のマークがついていない映画はかつては、どこの映画館でも上映することはできませんでした。それが最近は映倫の審査を受けないでも上映されている映画が出始めています。

  • そういう意味で、この映倫の審査を受けていない映画というのは、どういうものなんだろうかと。実は低予算で作った映画で、映倫の審査料すら払いたくない、そういう映画。もう1つはですね、ご存じでしょうかね、ODS(=アザーデジタルスタッフ)。

  • これは、劇場で上映するけれども映画ではない、劇シネとかですね。それから、宝塚の退団式のライブであるとか、あれかな。そういった意味での、いろいろな形で利用されているものが増えてきていますけれども、

  • このODSというのは映倫の審査なんかもちろん受ける必要はないわけですね。ということで、映画館で上映されているもの全てが映画ではない。一方でお話したように映画館以外でも映画は鑑賞されている。そういう時代になってきた中で、新しい映画観客を生み出さなければいけないということです。なぜ、そういう言い方をするか。もちろんユーザーは常に増やすことを目的にするのは当たり前なんですけれども、

  • 戦後の1945年以降の日本の社会の中でテレビが生まれる前と、生まれるあとという話は、皆さんにはぴんとこないかもしれませんけれども、そういう時代がありました。日本映画界の歴史としては年間の劇場入場者数が10億人を超えた。1957年から60年の4年間は10億人を超えたんです。このとき日本の総人口は1億いません。ということで1人が10回以上、月に1回ぐらい映画を見ていたという時代があったんですね。

  • そこからテレビが誕生し、お茶の間に普及し、1972年には、その10億人が2億人を切ったと。で、この72年から40年以上、2億人を超えたことが一度もないんです。つまり、2億人を目指すということで新しい映画観客を掘り起こしたいというのが日本映画界にとっての大きな目標数字なんです。最低の年は1996年の1億1900万人というのがあります。このままだったら1億切っちゃうんじゃないかという数字ですね。昨年2015年は、どうだったかというと、ご覧いただくとわかります。

  • そこにあるように1億6600万人。こういう数字で、最近は1億6000〜7000万前後というところ。つまり、あと2割、2割増やして2億になればもっと業界として川上から川下まで豊かになると、再生産が可能になるはずだという期待、願望があるわけです。

  • もちろん、10億を超えた時代、テレビもない、まして、パッケージ、ビデオDVD、そんなものもありません。映画館でしか見れないからこそ、それだけの人が来た。じゃあ、新しい利用、パッケージが増えた、それが数字として換算できないのか。そんなことはなくて、換算しています。ただ、それはやはり年間として5億とか6億とかいうところになりますので、

  • 先ほどの1億6000万人あたりを足したとしても7億、8億ぐらいにしかならない。つまり、やはりあと2割足したいということは数字の上からも現状として、まだまだ追求したい数字になっているわけです。その目指すべきターゲットとしてですね、これも3つ挙げました。

  • まず10代、そして、洋画、海外ということです。この10代というのは、皆さんも10代、元10代ぐらいな感じでしょうけど。どのぐらい映画を見てます?年に5本以上見てる人。若い人の中で、そういう人たちは映画好きとしているんですけれども。

  • じゃあ、ごめん、それ、映画館でっていうのだったな。映画館で去年1本も見なかった人?さすがに1本もはない。でも、それで1億6000万ですからね。ということで、世界では、やはりティーン、10代というのは一番、映画を見るそうなんですね。友達と行くわけです。

  • ところが日本では、家族でアニメを見た小学校時代から中学生になった途端に映画に行きません。ゲームだなんだ、いろんなことありますけれども、そういう国なんですね。ですから、10代の映画観客を増やすということは、世界との比較からしても日本で残された可能性として十分あるというところがいえるわけですね。

  • それに対して、僕の会社である東宝は、この10年連続して若い人たち向きの漫画原作の映画とかそういうのをやり続けているというのは感じてもらえていると思います。なぜやっているかといえば、そういったアニメを卒業した、ファミリーアニメを卒業した人たちに映画館に来てほしい。継続して定着してもらいたいという思いがあるからなんですね。去年は「ビリギャル」なんていうこういう非常にベストセラーですけれども

  • ヒューマンなアイデアがある面白いお話ができました。今年でいえば「ちはやふる」の上・下ですかね。こういった映画が高校生中心に大いに映画館に足を運んでもらえるようになりつつある。漫画原作でいえば「暗殺教室」なんてのは上下とも大変よくお客さんが来てくれていますね。

  • そんな中で、今年、今ですね、「君の名は。」が大ヒットをしているということで、この漫画原作であれ、オリジナルであれ、そういったアニメの中でも、ティーンズ対象のアニメーションというものを増やしていこうと。実写とアニメで10代に映画を見る習慣をつけてもらいたいというのが、チャレンジとしてまずすべきことで、これは、少しずつ実を結びつつあるのではないかな、というふうに思います。

  • 続いて、洋画。洋画というのは外国映画ということですね。お手元の全国映画概況の中の真ん中の段に構成比というのがあります。邦画、洋画と書いてあります。つまり、1億6600万人のうち、日本映画を見た人は55%。洋画を見た人は45%ということで、日本映画を見ている人が多いということなんですね。

  • 前の年を見ていただくと58対42となっています。世界の映画マーケットっていうことでいうと、もちろんハリウッド映画が中心なわけですね。ハリウッドは、北米。米国とカナダを入れたところで売り上げた数字のいまや3倍を海外、世界で稼ぎます。これは中国とアジアBRICsなんかが伸びてきているということがある。これもデジタルのおかげというのもあるんですけども。そのぐらい、ハリウッド映画というのは海外での売り上げが伸びているわけですけれども、

  • こと日本に関しては、日本のほうが日本映画が6割ということで、恐らくインドと韓国ぐらいしかないんじゃないですかね。ほかの世界の各国はハリウッドが60%、65%ていうようなとこが多いと思います。この洋画をなんとか見せなきゃいけないということで、一昨年は、「アナと雪の女王」でございますね。

  • 大々ヒット。興行収入でいうと255億というのがあったわけですけど、お手元の資料の洋画っていうほうの10億円以上番組というのを見てもらうとわかりますけど50億を超える映画が去年は5本ありました。これだけ粒がそろったヒット作が出始めたということは少し、洋画にもお客さんの目が向き始めたのかなという気がしないではありません。

  • 今年に関していうと「スター・ウォーズ」が、実写としては「アバター」以来の100億円超えをしていますので、これが非常に大きいヒットですが、そのあとは、やっぱり「ズートピア」、「ペット」とアニメーションがきてしまうというようなことがあるので、特に実写の海外の映画のヒットということが望まれるわけです。

  • 世界でヒットして、日本でヒットしなかったハリウッド映画。例えば「トワイライト」シリーズとか「ハンガーゲーム」こういったものは世界で大ヒットしています。でも、日本では名前ぐらい知ってるかなっていう感じだと思うんですね。そういったものが、世界と同じように日本の若い人たちを中心に評価を受けるようになれば、観客人員は順調に伸びていき2億に近づくはずだということで、じゃあ、それ、どうすればいいのかという話になるわけです。

  • 結局、これも先ほどの10代というところでお話したように日常生活の中でそういったことをアピールする、こちらから映画界のほうからアプローチしないといけないわけですね。

  • かつては、日本のテレビ局、地上波には週に1回必ず映画の放送枠があって、そこはしかも洋画をやっていました。淀川長治さんとかですねそういう、名だたる映画評論家の皆さんがこの映画はすばらしいですよ、こういうふうにして見るんですよ、ここがいいんですよと解説しながら、映画を見ることによって、映画を見る学びというのがテレビからできてたんですね。今、そういう枠はほとんどなくなりました。

  • 枠として残っていても、バラエティーをやったり、スペシャルバラエティーをやったり、映画をやるにしても、各テレビ局の自分たちが作った映画を、その枠でやるということが増えてしまって、若い人たち中心に映画を見る、洋画を見るという、そういった習慣をテレビから吸収するということがほとんどなくなってしまいました。このことが一番実は大きいことだろうなというふうに思っています。一方では、配信とかいろんな形の新しいメディアが増えてくるわけですから、

  • そういう中で入り口として洋画というものが、入ってもらう入り口になってくればいいわけですけど、そうなると、やはり「スター・ウォーズ」とか、そういった大ヒット映画のシリーズから入っていくということになると思います。昔ですと、やはり1人のスターがお客さんを劇場に引っ張るという時代があったわけですけど今、そういったバリューを持ったスターというのが、なかなか生まれなくなってきているというようなことを考えると、

  • ハリウッド映画が世界で、その国の3分の2の入場人数を占めている。それに対して、日本は日本の映画の力があるといってしまえばそれまでなんですけど、外国映画の伸びる余地というのはあるんではないかと。皆さんもテレビで映画を見る、特に洋画を見るなんていう習慣は全然ないと思うんですけど。

  • 実はですね、テレビ東京が月曜から金曜まで「午後のロードショー」という午後2時の前1時50分ぐらいからやっているんですね。これが、なかなかマニアックで、アクションものが多かったり、これは映画館でやったのかなというものをやったりしていて実は、このラインアップがなかなか面白い。そういうところに注目してくれて、それを録画したり見たりするような動きというのを作れないかなというようなことを個人的には思っています。

  • 今のままだと、多分、あれは中年男性か、そうですね...家にいる主婦が見るネタではないなというようなものなんですけど。ちょっとテレビ欄なんかをのぞいてみてもらって、そういうものの中で興味を感じてもらえるといいかなというようなことをお願いしたいと思います。3番目の新しい観客層として海外ということを話しました。ここでいう海外というのは、海外の資本と一緒に映画を作るということです。

  • 国際共同製作「コ・プロダクション」ですね。世界では国際共同製作が当たり前になっていて、特にEU・ヨーロッパみたいなところは国境がなくなりつつあるわけですけれども、7割以上は共同製作です。それに対して日本は、国内のマーケットが中国に抜かれたとはいえ、

  • 世界3位という、大きさを持っているということもあるんですけれども、外に出て行くよりは中のパイを大きく切ろうということで、ずっとやってきているんですね。国際共同製作の利点というのは、当然、海外と一緒に映画を作るわけですから、内容、登場人物、テーマ、全てがそういったコ・プロダクションとしての中身になっていく。そうすると、それは、映画としての新しいジャンルが生まれる可能性があるわけですね。つまり、新しい観客を国内でも作れる、海外でも作れる。

  • 海外で例えば、日本と中国がやったとしますか。そうすると日本は日本の取り分、中国は中国の取り分、国内はそれぞれが自分で利益を得ましょう。ただし、それ以外の世界の利益は出資比率に応じて分けましょうということで、その分けましょうがプラスアルファの収入になってくるわけです。

  • 国内のマーケット、お客さんだけではなくて、海外から、次の映画作りに向けての収入を得ることができるということで国際共同製作というのは新しい収入源というふうに考えています。ぜひ、これを進めたいということで僕はそうですね10年以上、この動きについて活性化するように、できるように、いろいろなところで動いてきています。

  • なんで、そういうことを始めたかというとですね、一番大きい理由は2003年に降旗康男監督と一緒にカメラマン木村大作ですけれども「赤い月」という映画をやりました。

  • これは中国の東北部。戦争中、終戦間近の話しなんですね。なかにし礼さんの原作です。子ども時代のなかにしさんが奔放に生きる母親のもとから、終戦間近ですね。非常に苦しい思いをして日本に脱出してくるという話です。けれども2003年に、この映画を作るときに中国の北京の撮影所のパートナーを見つけて一緒に映画を作ったんですね。

  • ハルビンをはじめとする東北部。寒いところに行ってマイナス30度なんていうところに常盤貴子さん、香川照之さん、布袋さんなんて人たちを連れて、行きました。そのときに、その冬編のあとにSARSが起きたんですね。2003年のSARSって皆さん、リアリティーないでしょうね。これ、大変だったんですよ。ただの風邪なんですけどコロナウイルス。うつったら大変なことになる。みんな入国規制、出国規制をするという中で、僕は、あと1か月半、中国で映画を撮らなきゃいけない。

  • 中断して、延期はしたんだけれども、必ず撮ろうというのを北京の撮影所のプロデューサーと一緒にやって、やりきったときに思ったのは、やっぱり、映画人というのは世界は同じだなと。信頼できるやつは本当に信頼できるというふうに思って、日本の中だけでない映画作りということに興味を強く感じたわけですね。

  • その後、例えば上海のオープンセットで映画を撮ったりとかですね。

  • 中国の中での撮影はその同じプロデューサー、史さんという方ですけど、その人と仕事をしました。それ以外にもニュージーランドで撮ったり、いろんなところに行くようになりました。そういう経験を経る中でやはり、映画の持っている共通言語としての可能性、言葉は違っても、映画というものでわかりあえる。それは映画を一緒に作ることによってさらにわかり合える。

  • それを広げていくという意味では、お客さんに映画を見てもらうということがゴールであるはずだと。そんな思いを強くして国際共同製作に向かってきたわけですが、日本ではですね、先ほど、ハリウッドでは自国内の200%以上を海外から得るという話をしましたけども、日本の国内の売り上げ、先ほどありましたね、1660億。これに対して、海外の売り上げってどのぐらいだと思います?

  • 20年間、変わってないんですけど、1660億で、もしアメリカだったら、これは、3000とか4000になるはずだけど、日本だと、どのくらいでしょう。少ないんだろうなと思うでしょ。少ないんです。恐らくです、80億ぐらいです。5%。国内売り上げの5%しか海外から入ってこないというのが今の日本映画界なんですね。これ、増やせそうな気するじゃない。まず、その入り口として国際共同製作をやることによって日本映画、日本の俳優、日本の監督、日本の風土というものをどんどん売り出す。

  • そういうことをやりたいというふうに僕は思います。ということで、国際共同製作というものを推進させたい。東宝映画の社長をやっていたのは6年間あったんですけど、2010年に東宝映画の社長を辞めたときに、文化庁とか経産省とかいろんな人が、僕のところに来ました。富山さん、暇になったから手伝ってください。その中の1つが海外留学者制度ということでですね、今の国際共同製作を推進するためのプロデューサーの人材を育成したいということで、1人に対して年間3万ドルの国の支援金を出します。

  • これが、もう5年続きましたんで卒業生が大体7〜8人、10人近くなってきました。この卒業生たちは、来年公開されるマーティン・スコセッシの「沈黙−サイレンス−」という映画の台湾ロケのプロデューサーとアシスタントをやった2人がいたりですね、

  • 「ゴースト・イン・ザ・シェル」という攻殻機動隊ですね。これのライブ版、実写版のニュージーランドと香港の撮影に行ってる人間。

  • それとアミューズ・アメリカで働いているやつ。どんどん、そういう活躍している人間が増えてきてます。これは、当然、英語力が必要なわけですが、アメリカの名だたる映画大学の大学院コースにプロデューサーがあるんですね。USC、UCLA、AFI、コロンビア、ニューヨーク。そういったところの大学院のプロデューサーコースに、まず自分で合格しなきゃいけない。これ大変なんです。大変なんですけど、合格したら審査をする。審査委員長をやっているんで、

  • あと何年やるかわかりませんけれども、皆さん、まだ在学生ですからね。大学院生になるわけいかないんですけど。そんなようなことで、どんどん出て行く人たちはいます。皆さん、この制度に興味があれば、「ユニジャパン」。カタカナでユニジャパンで検索で出ると思います。

  • その中に海外留学制度支援というのがありますんで、一度、ご覧いただくと、いろんな形で、大学院にキャリアを求めるというときの1つの選択肢として、いいのではないかなというふうに思います。この、ハリウッド、まあ特にUSC、UCLAとAFIですね。ロスにある3つの大学院に行くメリットというのは、クラスメートが40人ぐらい、30から40ぐらいなんですけど、その中にはいわゆる米国の人間が25人ぐらいいて、あとは海外です。

  • 一番行ってるのは、中国人、韓国人、それ以外にインド人。日本人が一番少ない。世界中から来た、このクラスメートというのはその後、映画の仕事をやり続けます。各国に戻って、そしてアメリカの中で。みんな同級生としてネットワークを組んでそれが、お互いの仕事のキャリアパスを上げていく。それが昔ながらのハリウッドの映画の仕事のスタッフの仕事の仕方なんですね。それをするためにはそこの大学院に行かなきゃいけない。

  • 先生たちがすばらしい。インターンに行く先がすばらしい。キャリアサポートがすばらしい。そんなことで、その中に、頑張って入っていく日本人たちがいます。彼らがこれからどういうふうになっていくかということのサポートは僕が熱心にやっていきたいと思っています。ということで、観客数を増やすという話で海外というところまでお話しました。続いてですね、新しい才能を発見して育てるということなんですけど、これは映画というのは、最終的に一番多い人数になったときは、スタッフだけでも、本当に100人を超えるときがあります。

  • ただし、スタートラインの企画を立てるときというのはプロデューサーか監督か脚本家か、その全てかというところですね。1人か2人か3人で始まるわけです。この今、言った3人を育てよう、見つけようということなんですね。それは、各会社それぞれの立場で、みんなやっています。僕がやってるのが、脚本家に関しては城戸賞という毎年8月末に締め切りをする映画会社各社が、審査員となってやる映画の日に発表する城戸賞なんですけど、

  • 例えば、僕のやっている日本アカデミー賞の去年、第38回の優秀脚本賞の中にはですね2人の城戸賞の受賞者がいたんですね。1人は、もちろん、その年の作品でした「超高速!参勤交代」というこれは城戸賞の受賞脚本なんですね。もう1人は「紙の月」。宮沢りえさんですね。その早船さんという女性だったんですけども、この2人が受賞者でいたということで、

  • 脚本は城戸賞という中からどんどん人が育っていくということがあります。それをまた見つけていこうと、審査員として見つけていこうということなんですね。で、監督、監督に関しては、若手監督の育成プロジェクトがありまして、ndjcといいます。

  • ニュー・ディレクション・イン・ジャパニーズ・シネマというんですけど、このndjcと10年間やってきました。30分の短編を若手監督がフィルムで撮ると。フィルムで撮るというところが売りなんですね。周りにプロのスタッフをそろえるということで。このndjcのスーパーバイザーを3年間やってきたんですけども、例えば去年の公開作品、劇場用の公開作品なんですけれども、

  • 武蔵野館で5月にやった「グッド・ストライプス」という岨手由貴子さんという女性ですけれど、非常に今日的なタッチで男女を描いていました。とても、心温まるいい映画でした。6月に新宿ピカデリーほかで公開されたのが「トイレのピエタ」。これは名前、ご存じかもしれないですね、皆さん。松永大司君。

  • 最初の岨手さんは2009年のndjc。松永君は2010年。もう1つ、9月に「合葬」という、これはマンガ原作でしたね。小林達夫君というのは、2012年ということで、監督も続々と若い人たちが出てきています。こういう人たちを発掘すること、サポートすることっていうのが、必要だということで、

  • 今年でいうと、ndjcでいうと

  • 10月に宮沢りえさんの「湯を沸かすほどの熱い愛」という映画があります。

  • これは中野量太監督で2008年組なんですけど、これも実に実に見事なすばらしいホームドラマです。女性たちにとってはたまらない映画だと思いますので、ぜひ、名前を覚えておいてください。こういって脚本家、監督、発掘する場所、出てくる場所というのは日本の中にあるわけですけれども、それプラス、プロデューサーですね。プロデューサーは、各映画会社で新卒の新入社員なんかを育てる、というところが大手の映画会社では多いです。

  • 一方、フリーは現場で学んで育っていくと。この大きくは2つのルートの中でプロデューサーも育っていくというと。ということで、若い才能ということで、この3つのそれぞれのポジションがあるわけですけど、僕としては、この3つの人たちがバラバラにいるのではなくて、1つに集めたい。集まることでその中から新しい企画が生まれるようにしたいということで、この3者の交流会というのをですね、一番大きいのは映画の日、12月1日に、これは、映画団体の支援も得て

  • 結構大きな形でやってますけど、それ以外でもオフ会をやったりしながら、こういう人たちの将来の可能性を広げる。ジャンピングボールとセーフティーネットといってるんですけども、特に脚本家と監督はフリーランスが多いですから、なかなか食えない。みんなで情報交換しながら仕事をやったり手伝ったりしながら前に進んでいこうというようなネットワーク作りをやっています。ということで、続いて3つ目なんですけれども新しいシステム作り。これが、実は今の日本映画界で一番大きい問題になっているんですね。

  • なぜ大きい問題かというとですね、デジタル化というのは、皆さんも実感されていると思いますけど、非常に便利にスピーディーになる、安くなる、そういうことがおきます。その今言ったようなことが、映画界でも起きてですね、映画を安く作ることができるようになったんですね。2001年に制作本数は。日本映画の製作本数は281本だったんですけども、このページにありますよね、581本。

  • 2倍になっているんですね。日本映画、すごいじゃないか。あんまりすごくないんですよ。安い映画を小さく作っている本数が増えている。デジタルのいい面もあるけど、問題点もここにあるわけですね。どういうことが問題かというとですね、やはり、映画というのは、先ほど言った、3人では作れないわけですね。プロデューサーと監督と脚本家では。各パートのスタッフがいるんです。メインのスタッフがいて助手が必要なの。

  • 普通に数えると、映画メンバーというのは40人ぐらいは必ずいるんですね。ところがデジタル化のいろいろな影響も含め今もう20人いない現場とか。しかも撮影日数を減らす。そんなことで製作費を圧縮する映画作りというのが横行しているわけですね。テレビと映画は何が違うんだ。いろんな意味で、映画はしっかり作ったクオリティーというものが、お客さんにお金を払ってもらえるはずだったのが、もう、テレビも映画も比べる。

  • 対象がどこにあるんだというぐらいに、安い映画作りというものが増えていて、これが、何よりも問題だと思うのが、やはりスタッフがそれでは生活できない。過重労働で体を壊す。20代の半ば過ぎぐらいまでは頑張れるけど、これはだめだといって、別の仕事に転職しちゃう。そういうようなスタッフの育成という意味で非常に今、大きい問題が日本映画として起きています。今ではなくてもう5年以上前から起きています。なんとかしてくれよ。

  • 僕は東宝映画で自分でやってたときは自分でやってたわけですけど。後輩も含めてみんなに言ってるんですけど、そこで、問題になるのが安く作れば、収支の分岐点、ペイラインというのが、低くなるわけですから、そうすると回収して利益を生む可能性が出るから、どうしても安く作りたいというのが増えているわけですね。これがなぜ増えたかというと、2004年に「世界の中心で、愛をさけぶ」という映画がありました。

  • この映画は、博報堂のプロデューサーが原作を見つけて、早い時期に獲得して東宝に話をして、小学館も参加をし、ソニーも参加をしてというので、1つの映画を複数の出資者が集まり出資するだけではなくてプロモーションも行うということで一緒にお金も出す、リスクもとる、汗もかくというやり方をしたんですね。その映画が大ヒットしました。そのとき以来、いまいったシステムですね、製作委員会というものを作って製作委員会システムというものが始まったんです。

  • この製作委員会システムを10年やってくるとですね、出資者の人たちも大体、もう本当によくわかってくるわけですね。いかにペイラインを下げるかという。製作費を下げれば、それでもって回収可能に早くなると。あるいは痛い思いをしてやっぱり、回収できなかった作品が多い。そういう中で、製作費を落とすことが、すなわち製作委員会のスタートラインみたいになっているというのが現代なんです。じゃあ、それに対して、どうするか。

  • 僕は、やはり、撮影所を中心とした製作現場そのものが、スタッフを守り、育てるということをしないといけないというふうに思っています。東宝でいえば砧。東映さんでいえば大泉。調布にはKADOKAWAと日活、2つあります。京都には東映と松竹があります。この映画100年の歴史の中で撮影所として、一番古いのはどこだ。名前が変わりつつも、やっぱり京都の2つでしょうね。

  • そういった撮影所、長い映画の歴史の中で、人を育ててきた撮影所が、もう1回、社員にはしなくても年間ちゃんと、スタッフを雇用する、仕事を提供し続けることで安定した生活の基盤を作る。更には製作委員会を説得して製作費を、台本に照らし合わせた適正なものにしていくと。そういう現場サイドに立ったプロデュースをすると。これは僕は撮影所は知り合いがたくさんいますので

  • その都度、その都度、みんなに言っています。製作委員会がいうこと聞いてくれなくてねっていう返事がもちろん、毎回、返ってきます。ただ、これは諦めずに続けたいと思っていますね。そうしないと、お話した、本数が

  • 増えても製作費が安いということで、スタッフが育たないという、今の日本映画の表に出ていない大きい問題が解消できないからです。このままいくとあと5年ぐらいで、本当に映画を作りたくてもスタッフがいない。そういう時代がきてしまいます。仮にいたとしても、映画大学、映像コースを卒業して、ちょっとはできるけど、今、これから覚えなきゃいけない子たちばっかりみたいな。インターンばっかりいるみたいなね。

  • そういう時代になってしまう責任を誰がとるのかというのは、やはり映画興行会社がとるべきだろうというふうに思っているので、この大きな問題というのは、ひと言で解決できるようなすばらしい方法論を今日、お話しすることはできません。ただし、そういった新しいシステム作りということが絶対に必要だということは知っておいていただきたいというふうに思います。

  • ということで、実際に映画界の変化ということで、劇場のほうはどうなっているかということを、今は製作現場のお話しをしたんですけど、劇場のほうは、どうなっているかというと、皆さんも利用されていると思います。自動券売機ですね。自動発券機。人のいない映画館、入り口は人がいないということがこれから、どんどん増えてきそうです。先ほどお話した24時間営業ということも合わせてですね、

  • これはこれで劇場にとっては都市型シネコンにとって一番の大きい問題点は家賃が高いということですね。郊外のそういったショッピングセンターに、一緒にあるわけじゃないですから。この高い家賃をどうするというためには省力化、人を減らすということで。それと、やっぱり、これもデジタルですね。ネットのいい点として、事前に席が取れるようなシステムが、もうできているということですよね。

  • だから、自動発券機への流れは止まりません。映画館にとっては、これを利用しつつ、一方でサービス業、接客業としての映画館、劇場の基本ということをどう守っていくか、お客さんに提供していくか。この一見、二律背反するような中での新しい劇場のシステム構築というものが必要とされているんだろうというふうに思います。実際に、劇場から始まる映画の利用という面では

  • 本数の増加に比例せずに、なかなか利益を生む映画が少ないということが実態としてあります。もちろん、1本の映画には膨大な人の力、予算がかかるわけですからそれを回収しなければいけないわけですけど。なんのために映画を作るかということをプロデューサーとしていつも考えます。

  • それは、もちろん、自分の作りたい映画を作る、面白いと思う映画を作る、お客さんに面白いと思ってもらう映画を作るというのがあるわけです。別の視点からいうときにですね、全てのその映画に参加したスタッフ、キャスト、もちろん、製作委員会、出資者の皆さんも含めて次の1本につながる映画作り。

  • なんで、この映画を作るの?次の1本につながるためだよって言い方をします。それは、その作品の内容であったり、評価であったり、興行成績であったり、そういったものの結果を実績としてスタッフが次の1本に向かっていく。そうやって、スタッフは作品の中から学び、キャリアを得、最終的には自分が独り立ちしていく。

  • 必ず次の1本につながる映画作りをしようねというのを、僕は合言葉で、スタッフとよく話して、映画を作っていました。今、いろいろお話した、収入がなかなか上がらないというですね、なんか厳しい話ばっかりしちゃったわけなんですけど一方で、NetflixとかHulu。

  • こういう新しい配信の会社、システムを持った会社が海外からアメリカから来ているわけですね。Netflixは早速、ベストセラーの「火花」のドラマ化なんか、ていうことをやってますし、Huluもありがたいことに「ゴジラ」全30作品毎日配信なんてことをやってくれています。一方で、そういったところから比べると老舗になってしまいますけれどもBSのWOWOWですね。WOWOWさんは

  • 地上波の民放各局を凌駕するようなクオリティーのドラマや映画を製作していると。映画でいえば「MOZU」とか、今やっている大友監督の「秘密」とかですね。非常にクオリティーの高い映画作りをしています。こういった動きというのが、これからどうなっていくのか。

  • それが才能も含め、システムも含めですね、新しい収支計算の変化にもなっていくだろうというふうに思います。もちろん課金される有料のサイトばかりではない海賊版、パイレーツの問題がここに出てくるわけですけれども、それも含めて、デジタル時代の新しいシステム、新しいプラットフォームというものに期待を持って注目していきたい。皆さんの中で、そういうことで起業してくれる人たちがいれば、大いに歓迎したいと思うわけです。

  • ということで本日の本題である3つのブレイクポイントのお話をしました。最後になりますけれども、新しい映画の時代によりどころとすべき基盤と指針という話をしたいと思います。これも、そうですね、3つほどあるんですけれども、

  • 皆さん、映画といえばどういうものかということを、それぞれの中にお持ちだと思いますが、僕は作り手の立場から、ちょっと今日は、あえて声を大きくして言いたいことが、「フィルムと映画館を捨てるな」ということなんですね。それは、どういうことかというとですね、映画は先ほどお話した130年、そのうちの110年以上はフィルムで撮ってきたわけですね。

  • フィルムというのは、もちろん、皆さんもご存じだと思いますけれども。化け学。ケミカルな存在なわけですね。デジタルというのは電子的な存在。ケミカルというのはこれは非常に実際の光を感光させるというようなところから始まって、とても扱いの難しい丁寧な扱いを必要とするもので、だからこそ、スタッフはその中で、映画というものを学んできたわけなんですね。つまりフィルムというのは、映画のスタッフにとっても最高の先生だったわけです。

  • そのフィルムがなくなろうとしているわけです。お手元の資料にはないですけれども3437のスクリーンのうち、今フィルムが上映ができるスクリーンは86です。

  • 飯田橋のギンレイとか。劇場じゃないですけど、国立フィルムセンターは当然、フィルムがかかりますけど。もう100を切ったということで、これは絶滅危惧種になりますね。100を切るとね。今年の年末には50を切るでしょうし、皆さんの中で、趣味としてフィルム上映館で映画を見るなんていうのも意外と高級な趣味といわれるようになるかもしれません。

  • ジョージ・ルーカスは、全ての映画館はデジタル化するということを7〜8年、10年前ですかね、言ったときにこれからはフィルムは高級なものとして高い料金を払って楽しむものになると言ったんですね。まるで演劇を芝居を見るように。それが当たるかどうかわかりませんけど、見る機会が減ってくることは間違いがありません。このフィルムとデジタルの違いというのは、映画関係者でも、そんなこと関係ないよって言う方結構、多いです。ただ、スタッフはそんなことを言いません。

  • 僕自身も一緒にやってきた仲間とのさまざまな経験値の中で、やはりフィルムのすばらしさというのを非常によく感じます。先ほど、お話したndjcという30分の作品をフィルムで撮るというプロジェクトの去年の実績としてですね、デジタルの上映は世界の基準がDCPというのがあるんですねデジタルシネマパッケージ。

  • これはどこにいってもDCPの基準でやればちゃんと映りますというものなんですけど、一方でフィルム、30分でDCPとフィルムで両方を作って、比較上映をするってことをやったんですね。その結果を、スタッフにも見てもらって、検証してもらうということを4作品でやりました。

  • その結果として、フィルムの持っている魅力というものはまだまだやっぱり大きいなというような話になりました。これは、このndjcを主催しているVIPOというところが冊子を作って発表するといっていますので、

  • 皆さんにご覧いただける機会があるかどうかはわかりませんが、湯淺先生に見てもらえるようにしようと思いますのでなんかの折には聞いていただければというふうに思います。よく言われるフィルムのデータ量というのは4Kと一緒だと。4Kわかりますよね、よくいろんなところで。NHKは、これから8Kと次のオリンピックに向かうわけですけど。ところがですね、その4Kの持っている解像度とフィルムの持っている解像度の違いっていうのはですね、音なんかも一緒ですよね。ごめんなさい、音はデジタルのほうがいいんですけど。

  • 強いところと弱いところ。絵に関しては、例えば真っ白から真っ黒の間の中間域はデジタルが強いんですけど、白からグレーの間、グレーから黒の間、ここはフィルムが強いんです。だから、見て違いが出るということが、一番わかりやすい例なんですけど、そういうことが起きるんですね。今日はちょっと時間もなくなりましたんで、細かなお話できませんけれども、フィルムの優位性というものは、ぜひ皆さんの中で覚えておいていただきたいと思います。

  • 実は、2015年にアメリカで撮った映画の中で、メジャー作品の中で100本はフィルムで撮影をしています。「バットマン対スーパーマン」「ブリッジオブスパイ」「007」「スペクター」「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」「ジュラシック・ワールド」全部フィルムで撮ってるんですね。

  • 今言った、フィルムの優位性をデジタルに取り込むほうが最初からデジタルのカメラで撮るよりもそこに画素が残るから。えーっておっしゃるかもしれませんけれども、ハリウッドでこれをやっていてフィルムはもう作らないといっていたコダックが、ハリウッドがこういうふうに言ったもんだから手のひらを返して、我々は映画人を守るためにフィルムを作り続けますというふうに、企業メールでもって僕のところにきました。

  • 富士フイルムやめないでほしかったなというのは、僕の個人的な、非常につらい思いなんですけど。今、お話したことでフィルム撮影はそういう形で残っているということだけは、もうわかっていただいたと思いますし、アーカイブとして保存するネガの優位性というのは更に強いものがあってハリウッドでは3原色プラスモノクロで4つのネガを作ります、今でも。全部の自分たちのどんなメディアにも対応できるからです。

  • 製作費のある世界で3倍の金を稼ぐハリウッド映画はそういう形で、フィルムをいまでも使っていると。デジタルの恩恵で安い映画作りをするだけではない、やはり、もう1つ目指すべきものもそこにあるんじゃないかということを、ちょっと感じていただければというふうに思います。もう1つ残したいものは、映画館で映画を見るということです。去年も、ここでお尋ねしたんですけど、映画館でみんなで見るのは、わざわざ行かなきゃ行けないし、なんか、一緒に笑ったりするのも

  • 面倒くさいし、1人で家で見たほうがいい、そのほうが映画を見るのは、好きだっていう人?今年は少ない。去年のほうが多かったと思うんですけど、そういう人いるんですよ。それを、なんだろうな否定とか肯定とかということじゃないんだなという時代なんだと思います。ただ、僕はやはり、映画館で映画を見るのが楽しいと思っている一番の理由は、人間の五感というのは、つまり、目から鼻から耳から。

  • これは、1つのいってみればスピーカーだと思うんですけど、例えば100人で見ると、100のスピーカー、マルチでセットしたスピーカーの反応を一緒に楽しむ。それは完全にボディーソニック状態の中で、わーとかキャーとか、鼻すすったりとか、ガクンって動いたりとか、それを一緒に感じるのが映画館での映画の見方の面白さ。増幅されていく感情ですね。五感が増幅されていく。そんなことを言ってて、僕は人が前にいるのが嫌いなんですよ。

  • 頭を動かしたりね、いろんなことするでしょう。だから、人が前にいないように前に前に行くと、最前列で見ちゃったりするんで、そういうことがあるんですけど、それでも、後ろでみんながこうやってくれるのが、それが楽しい。僕は一緒に見るのが楽しいということと、それだけではなくて、見終わったあと、一緒にその映画の話をするのが楽しい。「シン・ゴジラ」というのもすばらしい。そういう意味でもすばらしい映画で、僕は、夏に3回、「シン・ゴジラ」で話す会というのをやっています。

  • いろんなスタッフとやったり、そうじゃない連中とやったりして。これはこれで話すわ、話すわ。本当に最高の暑気払いという感じになります。だから、みんなで一緒に見て、みんなで映画の話をするのは楽しいということは、ぜひ、皆さんも僕の言ったことを真に受けて、やっていただきたいな。もし、やっていない人がいたら、やっていただきたいなというふうに思います。

  • そろそろ時間もなくなってきましたんで。あと、いくつか。もう1つは、そうですね...。寄って立つべき場所ということで、結局、今いったフィルムだ劇場で映画を見るだっていうのは、

  • なんか温故知新だなというふうに、故きを温ねてだなというふうに思われるかもしれませんけれども、やっぱりそういうことだと思うんですね。じゃあ、僕にとって、映画の魅力っていうものはなんなのか、って話をしたいと思うんですね。つまり、よく、映画の魅力って何?って質問のされ方もされますけど、僕は東宝の人間なんで、東宝ってどういう会社って聞かれるわけですね。そういうときに僕はですね東宝というのは、1954。1954だと答えるんですね。

  • 1954年に東宝の撮影所で3本の映画が生まれました。「七人の侍」と「ゴジラ」と「浮雲」です。「七人の侍」と「ゴジラ」は皆さん、知ってますよね。「浮雲」知ってる人?いてほしいが、いないか。高峰秀子さん、成瀬巳喜男監督の日本映画の中で宝物といわれるようなすばらしいラブストーリーです。この3本。「七人の侍」っていうのは何かっていえばノンストップストーリーですよね。

  • 3時間...。3時間27分。見始めたら止まらない。本当に止まらないです。つまり、映画の魅力の何がそこにあるかといえば、興奮するということ。ワクワクドキドキ。じゃあ「ゴジラ」には何があるか。「ゴジラ」は見たことがないものが現れた。つまり発見ですよね。映画の中には知らない、これ。こんな世界、見たことないっていう発見があるわけです。

  • で、もう1つ、「浮雲」。こちらには何があるかっていうと、ああ、あんなふうに男の人を好きになったり、すばらしいなというようなラブストーリーですから、これは共感ですね。登場人物と一緒になって笑ったり泣いたり。そういう映画の魅力。今、お話した、興奮と発見と共感。それが、映画の魅力。

  • そして、その魅力のもととなるようなすばらしい映画3本が生まれた1954年っていうのが東宝という会社を表す年だというふうに人にお話をすると、映画のことをご存じの方はなるほどなと言います。今言った、興奮、発見、共感というのは、これも、全てのことに通じるものなので、皆さんがレポートを書くときでも卒論を作るときでも、

  • 興奮と発見と共感がその中にあるかどうか。それを埋め込むような卒論作りができれば、きっといい点数がもらえるであろうというふうに、湯淺先生もうなずいている。思います。ちょっと本当に時間がきちゃったんで。最後にですね、「シン・ゴジラ」がなぜ新しいかというお話をしたときに、言わないでおいたことがあります。

  • 新時代が始まるんじゃないかということですね。製作委員会のお話をしました。共同出資、「シン・ゴジラ」というのは、東宝の「ゴジラ」は財産ですから。この知的財産、IPを人の出資を受けるということで分散させるわけにいかない。東宝が全額出資しているんです。リスクも全部負う、宣伝もプロモートも全部自分でする。

  • 自分たちだけでやって当てたんですね、「シン・ゴジラ」。ここが新しいという、僕は思い。東宝という会社は目抜きに劇場がありましたから

  • いろいろなことを言われました。「不動産で稼いでいる会社だね。」とか、いろんなこと言われた時期がありました。ところが、こういった、今言った世の中の流れの中で、1社で作り上げて売り切ったと。それが、これだけの作品になったということは、映画本業会社が、映画の仕事をする中で切り開く新しいスタートラインじゃないかというふうに思ってるんですね。そしてもう1つが、「君の名は。」です。これは、監督が自身で脚本を書き、原作も書きというものですけど、このオリジナルのアニメが、なんでこんなに当たるのか。

  • いろんな人に僕は聞いています。女子高生たちがわーっと見に行っちゃったからクラスの男子が見に行かないと、やばいっていうので行ってるみたいよ。これも半分当たってます。いろんな言い方で、ヒットの理由、分析はこれからも関係者はしていくと思うんですけど。たった10日間で30億を超える映画なんていうものに出会うことはそうありません。何十年に1回だと思いますよ。今、そういうことが目の前に起きているんです。これも、東宝が作ったアニメーション。

  • 東宝がアニメ部を、事業部の中にアニメ部署を作って最高の形で当てた例ですね。映画というのは、どんなに急いで作っても3年かかります。企画の始めから公開まで。ってことは、2016年の今、「シン・ゴジラ」と「君の名は。」があるということは、3年前に東宝はそれをそのスタッフが始めたということです。

  • それ以上前からやってますね、きっとね、「君の名は。」に関しては。というようなことで、僕は僕の後輩たちが。僕が、東宝映画を辞めて、6年経つわけですけど、もう、3年前、4年前から、こんな日を、こんな9月を迎えるようなことをやってきてるんだなっていうんで実はちょっと感動しています。あまりにも東宝の映画が当たりすぎるので「東宝の1人勝ちだね。」ってよくいわれるんですけど、それだけのことをやるための、お互いを磨き合うような若い子たちがいるっていうことです。

  • で、こういった動きは、活性化として日本の映画界に必ず広がります。どこかがやったことは、ほかも、なるほど、これだと。経営者は経営者で若手は若手で思うわけです。ですので、この「シン・ゴジラ」と「君の名は。」があることによって、日本映画界はこれから更によくなる。

  • 新時代を迎えられるというふうに僕は感じて、そのことが、実は今日一番言いたかった。別に東宝を褒めているわけじゃありません。若いクリエイターたちを褒めたい。ということで、18時なんで、あと5分Q&Aにいきたいと思います。しゃべりっぱなしでごめんなさい。よろしく。

  • その辺の読み解きは面白そうなんでね。つまり、危機管理体制とかね、

  • もはや戦後ではないとかね、あるのかもしれません。僕自身は、そのことについて、まだそんなに深く考えてはいないですね。「君の名は。」のタイトルのネーミングについても、そんな話が出てたり...。できたら一緒に考えたいと思います。あなたの意見も聞かせてもらえればと思います。

  • 今日、お話したパリのカフェでやった最初の映画ね。それは「工場の出口」っていう映画なんですよ。それは、カメラももちろんフィックス。工場が終わって、出口から人が出てくるってだけの映画なの。

  • それでも、みんな、ああすごい、動いてるって言って見てたの。その次にやった映画がですね、どこかにタイトルあるけどね。駅を映した、プラットフォーム。プラットフォームに人が立ってる。あっちから列車が来るっていうのを映しているカメラ。それを見ていたお客さんたちは逃げ出したんですよ、パリのカフェで。つまり映画というのはそういうアトラクション。

  • アトラクティブな要素ってのが必ずある。だから3Dでもあり4DXであり、IMAXであり、必ずそういうものが出てきて、それがその映画にふさわしい形であればお客さんは見つけてくるんですね。なので僕はアトラクションとしての映画というものは常にある。そういう意味で4DXもあるというふう思います。個人的にはあまり行かないですね。

  • なぜかというと、さっき言った五感ということでいうと、それはもう3Dにするんだったら自分の頭ですればいいというふうに思っているし、「シン・ゴジラ」はだいぶ水が飛んでくる。海から上がってくるんでね。いらないなっていうのはあります。でも、そういうの、喜んでくれるお客さんがいる。そうやって楽しむのが映画の1つの楽しみ方だというのはあると思います。

  • 実践派が、本当にありがとうございます。そうなんですよね。

  • まず、非課税であるということはあるので、そういう意味で国が持っていってるわけじゃないんだよね。今の話はね、たぶん、カンヌで深田監督が言ってたことじゃないかなと思うんだよな。例えば、フランスとか中国とかは、国が金を取るんだよ、入場料から。取り上げて、それをフランスの場合は映画作りに分配する。

  • 開発費、企画開発費とかそういうものに出してる。だから、若いけど実績のない人たちは、それを申請することによって、映画作りに向かって、劇場でお客さんが払ったお金が流れてくる。基本、劇場は川下なのでその川下から川上に映画作りに還流しなきゃいけない。それは、そのとおりなんだよね。あと、だから単価の問題でいうと高いというのは、ずっと言われていて、実際に、1800円は高いと思います。

  • アメリカでいえば...、アメリカは今、どのくらいなのかな。8ドルから12〜13ドル。中国がだいぶ上がってきて、アメリカ映画なんかだと似たようなものになるかな。多分、基本1200円くらいだよね。

  • ところが日本のここに平均入場料金って書いてあるでしょ。これ、1303円なのはアイマックスとかが増えたからなんだけど、やっぱり1800円を払ってる人はいないよってことなのね。だから、この1200円台というのが本来のお値ごろ感だというふうに思います。だから、それをシミュレーションしてやってみたこともあるんだよね。東宝のある地域のサイトでもって割引デーをやめて、その代わり、

  • 一律1500円というのをやったの。これ、1500円がやっぱりまずかったと思うんだけどそれと、やっぱり周りにもシネコンがあるんで、そっちに行かれちゃったっていうのもあるんだけど。例えば、それを1200円でやったらどうなるかなっていうね。割引デーが、これだけたくさんあって、しかも、6本見たら1回とかああいうものもあるから、こういう単価になるでしょう。この単価に向かってやるべきことっていうのはあると思います。ただ、それがさっき言った、

  • ちょっとわかりきれてないところがあるけど、まず、税金はかかっていないので、かかってないことでいえばそれ以外の建物の中で、ほかのものにはもちろんね、消費税8%かかってるわけだけど。それとさっきいった、還流させていくために国が吸い上げることによって作り手を守るというのはね、そういう声があることも確かですね。中国は吸い上げたやつを何に使うかっていうと次のシネコン作るために使ってる。

  • だから、どんどん、どんどん、シネコンの数が増えていく。ちょっと答えになりきれてないとこありますけども高いということは事実なんで、それがある種、証明されたのは、この数字だということですね。いいですか。