• 皆さん、こんにちは。去年、授業を受けた方もいらっしゃるかと思います。大阪の阪南大学というところからやってきましたご紹介に預かりました、大野です。今、阪南大学で広告とかキャラクターとか、放送、メディア、そういったものを教えています。それから、ことしから関西学院大学というところでも

  • 週1コマ、授業をやっています。やはりこういうキャラクターとかメディアに関する授業をやっています。先ほど湯淺先生からお話いただいたとおり、私は、特にキャリアが長かったのはNHKでの仕事です。NHKでは、「MAG・ネット」というBSでやっていたサブカルチャーを扱っている番組の制作をしていました。

  • それ以外にも、今、NHKのキャラクターになっている、どーもくんの開発をやったり、それから「日めくりタイムトラベル」という毎年、昭和50年とか昭和38年とか、昭和のある年を3時間で振り返るという情報番組をやったりしてました。あと「スタジオパークからこんにちは」という昼間の、今だとちょうど、「徹子の部屋」の真裏でやってるのかな。

  • そういうのも担当したりしていました。どちらかというと先ほどの授業の足立さんは報道・ニュースですけど、僕は娯楽・エンターテインメント寄りの仕事をしていました。きょうの話です。去年、聞いた人とは、ちょっと話がかぶるところもありますが、バージョン2ということで、主に5つの項目です。現代の日本人とキャラクターについて。それから、キャラクターの本質とマーケット、市場の関係について。そして、キャラクターとそれにまつわる物語の関係というのが今、大きく変わろうとしています。

  • 変わるキャラクターとストーリーの関係についてもお話したいと思います。それから、きょう、僕が一番やりたいと思っていたのですが、新しいトピックスということで、萌えと擬人化のことについても、お話したいと思います。それから、最後にまとめとして、これからのキャラクターで管理とか育成についてもお話ししたいと思います。ちょいちょい、僕が話をする中で、

  • 大野、何を言っているんだろうということがあったら、私はふだんの授業もそうしてるんですが、手元にスマホを置いていただいて、音を出さなければ構わないので、気になった単語があったら検索していただいて構いません。日本大学ではどのように先生がおっしゃってるか分かりませんが、僕は大学の授業でスマホを見るのはどうぞと。音さえ出さなければいいよ、と言っているので、

  • 気になる言葉があったら、検索していただいて構いません。きょうの、まず最初のお話ですが、現代の日本人とキャラクターについてです。現代の日本人、皆さん、キャラクターっていうのは大変、興味がある分野だと思いますが、まず最初にお話をしたいのが、手元にプリント、置いてあるでしょう。プリントは僕が出すスライドが、ほぼ全部、プリントで裏表、計6ページ分、コピーしてあります。それから、最後に裏がない

  • ペライチのものがあります。これはきょう、もし万が一、時間が余ったら、やろうと思ってるやつです。ただ、ちょっと、たぶん間に合わないと思う。NHKのキャラクターのどーもくんの開発をしたときの話をするときに、僕が使っているレジュメなんですけど、たぶん、きょう、それは、話が、そこまで進まないと思うので、それは興味がある人がいたら、

  • あとで、居酒屋かなんかで話をしますから、それはおまけです。主に使うのは、裏表印刷された3ページ分のA3の紙です。話を元に戻しますが、まず最初にきょう、事例として出したのはキャラクターというのは、所有者、それを持っている人自身のパーソナリティーを映すということで、これはインターネットなんかでも話題になったので知ってる人がいるかもしれません。

  • ウナギトラベルという旅行代理店があるんですけど、名前、聞いたことある方いますか?いない?2〜3人いるね。ちょっと前にネットとか情報番組でも話題になったかな。ちょっと変わった旅行代理店があるんです。キャッチコピーは、ぬいぐるみ様に特化したこだわりのサービスをお届けします。旅行の主役は人間ではなくて、依頼主が、かわいがっている愛がんしているぬいぐるみなんですね。この会社は、お客さんから預かった、ぬいぐるみを連れて、

  • この旅行代理店の人が各地を旅して、観光スポットとかお食事どころとか、そういったところで、写真を撮るわけですね。その旅先の写真を、お願いした人に送ってくれるわけです。報告してくれるわけですね。依頼主は、自分のかわいがっている、ぬいぐるみの旅先での写真を見ながら、忙しくて旅に出られない人は、そこに自分を投影し、

  • また、ある人は、自分の子どものように思ってるぬいぐるみが、わが子がね、日本を旅してきたのね、どこどこに行ってきたのねというように、愛するぬいぐるみを擬人化のイメージで一層かわいく思うって、これはいろんな情報番組とかネットなんかでも奇妙奇天烈なビジネスだというふうに扱われていたんですけど、よくよく考えると日本人にとっては決して特異なビジネスではないんですよね。特異っていうのは、

  • なになにが上手っていう意味じゃなくて、変わったビジネスではないんですよ。ちょっと、きょうは、より一般的な事例として、これは皆さんが、非常によくご存じでしょう。日本だけの奇妙な現象ということで東京ディズニーリゾートに出没していますダッフィーをちょっと挙げてみました。皆さんダッフィーはいちいち説明しなくてもよくご存じでしょう。ダッフィーっていうのはディズニーランドで売られているくまのぬいぐるみなんですね。

  • もともとは、アメリカのディズニーワールドで販売されていた、普通のいわゆるテディーベアなんですね。これに映画のキャラクターでもなくてですね、特に人気がある商品ではなかったんですけども、これに実は、日本のディズニーランドのスタッフが目をつけたと。日本向けにアレンジして商品化したところ大ヒットしたというのが、このダッフィーなんですね。これは、キャラクターの設定を知っている人は、いまさら説明を聞くまでもないと思うんですが、

  • いわゆる、ミッキーの彼女のミニーからミッキーへプレゼントされたくまのぬいぐるみだっていう、そういうアイテムなんですね。だから、いわゆるディズニーのお話の中で動いたりするような、そういうキャラクターではなかったんですね。要は一つの道具でしかなかった。ところが、このダッフィーを東京ディズニーランドに持っていって写真を撮ってネットに投稿するファンが続出するようになったんですね。

  • 今、話をした、ミニーがミッキーにあげたっていう設定は実は後付けで作ったんですよ。実は、後付けで作ってそういう話を、あとからくっつけたんですね。そういう話を東京ディズニーランドがしたところ、東京ディズニーランドに通う熱心なファンが、われもわれもとネット上に投稿するようになったと。調子に乗った東京ディズニーランドが専用の撮影ポイントを園内に用意したんですね。そこにダッフィーを置けば、

  • さっきのウナギトラベルと同じように、自分の分身のようなものを写真の記念として残すことができるわけなんですね。さらに、調子に乗ったことに、東京ディズニーランドでは、いわゆる、ぬいぐるみの大きさだけではなく、人間と同じサイズの等身大のダッフィーの着ぐるみまで、いよいよ登場してしまいまして、もはや、本来のディズニーキャラとの区別がつかないというような事態に陥っています。ディズニーランド、東京ディズニーシーも含めて、マスのお客、何千人、何万人。

  • いわゆる、マスメディアの、マスですね。マスのお客さんを相手にするディズニーが、こんなように余白をお客さんが自分で埋めるサービスをしかも、ディズニーっていうのは、世界各地で遊園地を展開してるんですけど、日本だけで取り入れたってことは、非常に日本の消費者をディズニーがよく研究して、マーケティングして、この要素を取り入れたということなんですね。つまり、日本の消費者がいかに独特であるかっていうことを

  • 示していると思うんですね。ディズニーランドをもともと造ったウォルト・ディズニーという人は、伝記シリーズなんかにもウォルト・ディズニーってよく出てきました。僕も小さいときに読みましたけれど、大変な完璧主義者で、ディズニーランドをフロリダに造ったときかな、細かくいちいちチェックしてスタッフが大変だったみたいなエピソードがあります。このように完璧主義者なウォルト・ディズニーが意図した、

  • すべて自分のイメージどおりの完成された世界観というやつですね、それを遊園地のコンセプトにしてたんですが、そこからは大きく逸脱してるわけですね、このダッフィーというのは。こういう自分のイメージしたときの、作者が作ったイメージの世界ではなくて、ストーリーやテーマを、自分流にアレンジしちゃう。逆にいうとダッフィーって一種ストーリーの中に出てくる、単なる道具だったわけですよね。こういうように、キャラクターとか

  • 断片の情報を重視して、劇中のキャラクターが所有するアイテム、ミッキーが所有するアイテムを勝手にカスタマイズしちゃってるんですよね。それを、ディズニーランドに来訪する人たちは、勝手に写真を撮っていると。これは新時代のキャラクター消費行動を非常によく表している事例じゃないかなと思うんですよね。

  • そういう中で東芝のコマーシャル、ちょっと30秒ぐらいですけど、ご覧いただきましょうか。見た人いるかな。かすみドールというやつですが、30秒、流してみます。(動画を見ています)

  • これね、考え方ではさっきのダッフィーとかと同じ考え方なんですよね。あるいは、さっきのウナギトラベルと同じ考え方なんですね。このように自分の分身としてキャラクターをほかのところに持っていって、写真を撮るっていう行為自体が

  • 東芝のような大きな広告主からも、普通の行為だというふうに映ってるということなんですね。キャラクター商品についてなんですが、古いデータなんですけど、2004年11月にバンダイが調べた、キャラクターに関するデータなんですが、男女3歳から69歳について調べた結果です。その結果、キャラクター商品への好意率、

  • キャラクター商品が好きだっていう人はやっぱり9割を超えてるんですね、全体の中で。キャラクターを持っているっていう率も、今から14年ぐらい前、2004年、12年前ですね、所有率も約8割。69歳まで含めてですよ。全体の3分の1がキャラクターに話しかけたことがあるっていうんですね。要するに、一人でさびしいときに

  • 、つらいとか、彼氏とうまくいってないとか、そんなことをしゃべったことがあるんでしょう。そんなような体験があると。一方で否定的な意見についてはちょっと、オタクっぽいっていうのが17%。それは、こういうの持ってるのが恥ずかしいというのが14.8%なんですけど、全体からすると非常に少数意見だったんですね。男性の7割、女性の9割がキャラクター商品を持っていて、若い年代ほど、所有率が高いと。

  • 現在から、約10年以上前だということを考えると、当然その分、みんなが年をとってきているわけですから、キャラクターに対する好意率はさらに、ぐんぐん上がっていると考えられると思うんですよね。これは、性年齢別の黒が男性、白いのが女性のグラフですが、同じ調査の中から年代別に区切った、棒グラフです。このように見てみると、非常にキャラクターに対して好意的な日本人の姿が見て取れます。

  • 一般に、日本以外の国では大人になるとキャラクター商品から離れるって傾向が強いんですね。アニメが印刷されたTシャツなんかを着て町なかを歩いていると、あいつ、ちょっと頭おかしいんじゃないかと。ちょっとやばいなと。美少女フィギュアなんかを集めたりしてると危ない人なのかな?性犯罪者なのかなみたいに思われてしまうふしがなきにしもあらずです。

  • ところが、日本というのは美少女フィギュアを堂々と所有することができるし、アニメのTシャツを堂々と着て町なかを歩くことができると、非常に成人が、大人が堂々とキャラクターグッズを身に着けていられる、大変すばらしい国が日本だということなんですね。これ、数か月前、半年ぐらい前かな、東京駅の地下道で撮った写真なんですが、職場で戦う美少女戦士たちへという

  • でっかい看板があったんで撮ったんですけど。歴代の「セーラームーン」が並んでいるんですけど。これね、子ども向けの広告じゃないんですよ。これは職場で戦う美少女戦士っていう、要するに今OLをしている人たちが昔、見ていた、「セーラームーン」を、それに自分たちが今、働いている、頑張ってる姿を投影して、商品を売り込もうと、栄養ドリンクを売り込もうという広告なんですね。ノーマルな大人に向けてアニメキャラで訴えかけているのも、

  • 非常に珍しいパターンじゃないかなと思います。かくも日本人っていうのはキャラクターが好きな民族だということなんですが、なんで、この日本人はキャラクターが好きなんでしょうかと。こうした、非常に、外国人から見ると非常に不思議にすら見える、キャラクターリテラシー、メディアリテラシーということばがありますが、キャラクターリテラシーというのはどのようにして育まれたのかと。ちょっと歴史をさかのぼって考えてみたいと思うんですけれども、

  • なぜ日本人は、そんなにキャラクター好きなんでしょうかと。日本民族の独自性っていうのは、宗教とか社会通念をまたがって、なんでも取り入れてしまう包容力とか雑食性とか、そういう多様な要素を、オリジナルにまで昇華させてしまうマッシュアップ性。マッシュアップっていうことば知ってるかな?よく、技術を組み合わせて、新しいものを作ってしまうことをマッシュアップっていうんですけど、

  • こういうマッシュアップ性にあるんでね、日本人は。日本で独自の進化をするのなんかが分かりやすい例ですけど、その根底にはキャラクターに関していうと、やおよろずの神とか、多神教っていう考え方があるんですね。

  • 神様は絶対だとしている、一神教の考え方。ミッキーマウスも1匹しかいないと、よくいいますけど。キリスト教、イスラム教、ユダヤ教とか、神様は、ただ一つだということなんですが、日本のように森羅万象に神様が宿っているっていう宗教観はなかなか珍しいんです。これは日本人のキャラクター感が土台を形成してるんじゃないかなと思うんですね。それから、よく日本人は昔話なんかで、「鶴の恩返し」じゃないですけど、人間とそれ以外の異界のものとか、異形のものとかが

  • 交流したりするような伝説とか民話も多くて、それから実際の人物が神様になる例も多いんですね。平将門の怨霊とか、菅原道真の怨霊とかとよくいいますけど、そういうように実在の人物が神社に祭られる対象になるっていうこともあるんですね。要は人間が神様になるケースもあるんですね。こういう、偶像崇拝を神様を目で見える形にするっていうものを一神教の宗教では禁じてるんですね。

  • それに対して日本人は物質の背後に、神様とか物質の命があると感じる臨在感っていうのがあるんですね。道端に落ちてる石ころにも命があるように感じるのが日本人独特の感性なんですが、これは、アニミズムっていうことばがあります。アニミズム...アニメのアニメなんですけど、

  • これは要するに物が動くとか、そういう原始のね、人間が持っている原始の考え方なんですけど、要はものに命が宿ってる考え方で、アニミズムっていうんですけど、非常に一神教の人たちからすると原始的で古臭い考え方なんですよ。要するに未開の地の人たちがもってるような、そういうちょっと、あまり、文明のないような人たちが持っている考え方っていうのが、アニミズムっていわれてるんですけど、日本人は、いまだにこれを非常に、いまだに重視していて擬人化の概念というのも、

  • あとで詳しくやりますけど、擬人化の概念というのも、非常に日本人っていうのは、古くから大切にしてきた部分があります。その原点とされているのが、これは皆さんよくご存じの教科書にもよく出てくる「鳥獣戯画」というやつですね。鳥羽僧正が描いたといわれている。動物があたかも人間のようにふるまっている絵巻ということで。一般には、よくこれが、宮崎駿さんがよく言ってますけど、擬人化とか、キャラクター化とか、日本の擬人化の原点だとか、という言い方されています

  • それから日本にはアニミズムと関連して、古くから、付喪神っていう考え方があるんです。付喪神っていうのは、古い道具に命が宿るという民間信仰なんですね。そういう民俗学が好きな人は、勉強なさってご存じかもしれません。この古道具に命が宿って夜中に行列をなすということから、百鬼夜行という考え方が、民間の間に広まりまして、要は化け物が夜中に行列すると。それをみんなが、口々にものを大事にしなきゃと言い伝えてきたと。

  • この百鬼夜行がさらに転じて、妖怪キャラになって、その後も、例えば、昭和の時代になって水木しげるさんの妖怪漫画とか、それから、スタジオジブリの「千と千尋の神隠し」とかね。あるいは、小学生たちに人気の「妖怪ウォッチ」とか、そういうものに綿々と引き継がれているんですね。各地のいわゆる、ゆるキャラといわれるやつね、

  • このゆるキャラなんかも、伝統的な化け物キャラと非常につながってる部分が多いんじゃないかなというふうに考えられるんですね。あわせて、古典芸能から伝承されてきた部分大きくて、これは、ちょうど、きのう東宝映画の社長だった富山さんのお話なんかにも、ちょっとありましたけど、「ゴジラ」、こういう特撮。いわゆる日本の特撮っていうのは、歌舞伎とか、浄瑠璃とか、

  • 文楽とか、そういう伝統芸能から非常に引き継がれた部分が多いんですね。特に、東宝の「ゴジラ」なんかは、いわゆる、操演っていう中に人間が入るパターンですね。これはちょうど歌舞伎でガマが入ってるやつですけども、

  • ゴジラも中に人間が入って演じると。それから空を飛ぶものね。いわゆる操演っていう技術なんですけど。歌舞伎なんかでもでっかい大蛇、ヤマタノオロチが出てきて、首を動かすとかね、そういう技術があります。こういう伝統芸能の技術というのが特撮に転用されていて、ゴジラをはじめ、円谷プロの「ウルトラマン」であるとか、東映の仮面ライダーシリーズなんかに、延々と引き継がれていますね。現在、ゆるキャラが全国各地でいろんな形で量産されてるのも、

  • こうした着ぐるみとかかぶりものに対するリテラシーが日本人には高いからだといえるんじゃないかなと思ってますね。一方で、日本人というのは、非常に海外からの輸入文化にも受容性が高くて、今、ここにあるのは、昭和の初期に日本で作られたミッキーマウスのおもちゃなんですけれども、昭和の初期には、すでに、あとで紹介しますがフィリックスとかミッキーマウスとか、それから、ベティーブープとか、

  • アメリカのキャラクターがほとんどタイムラグなしに日本の広告とかおもちゃに登場してるんですね。実際にこれは本来の、ウォルトディズニーカンパニーが、このおもちゃに、ちゃんと、権利料をとったかどうかっていうのは、定かではないんですが、しかし、アメリカで登場したのとほとんど時間の差がなく、こういうおもちゃが日本に入ってきたということで、やっぱりキャラクター商品が国内で相当、1930年代、昭和の一桁ですね、

  • このころには、国内で相当、頻繁に作られてた、大量に作られていたっていうことが証明されていてですね、そのあと第2次世界大戦が終わりまして、戦後の日本では、いわゆるストーリー漫画の元祖である手塚治虫がディズニーの画法をうまく模写したキャラクターを量産して、後の漫画家に多くの影響を与えることになるんですが、手塚治虫が非常にウォルト・ディズニーを研究したというのは

  • 有名な話で、映画館に通って、ディズニーの映画を暗闇で模写したという話もありますし、それから戦後、日本で発売されたウォルト・ディズニーの伝記とか、翻訳されたアニメに関する漫画なんかも手塚治虫が手がけたりしていることもあって、相当、手塚治虫はウォルト・ディズニーから大きな影響を受けたっていうことは間違いないということがあります。実際、彼は生前、ウォルト・ディズニーにも会っていろいろと話もしたりしているようですが。

  • ただ、キャラクターの描き方の方法というのは、輸入品にあるディズニーとか手塚の系統だけではなくて、手塚治虫を中心に、皆さんよくご存じの、手塚治虫の弟子筋にあたる、藤子不二雄、それから石ノ森章太郎さんなんかも手塚治虫さんの影響下、その流れにある人ですね。石ノ森さんの漫画というのは、手塚治虫さんに比べると、ちょっと大人っぽかったりね、線がもうちょっと繊細だったりするんですが、いずれにしても今でも、盛んに番組やアニメが作られている、

  • 藤子不二雄さんや石ノ森章太郎さんというのは、手塚治虫をたどって、さらにその上にいくと、ディズニーがいるということなんですね。こういう太い線の明るい漫画とは全く異なる作品群というのが日本には存在していて、いわゆる、貸本漫画@という世界からやってきた、水木しげるさんとか、

  • さいとうたかをさんとか。さいとうたかをさんって、今「ゴルゴ13」の作者で有名ですが、ちょっと前の手塚治虫たちと画法が違いますよね。細かい線、こういうのは戦前から紙芝居とか、日本の浮世絵とか、そういう部分からきている画法で、

  • 省略とか、そういう部分をうまく使ったディズニー漫画の手法と比べて、写実的な部分とか、いわゆる、けれん味ってやつです、時代劇とかでもそうですけど、けれん味ってやつありますよね。刀を抜いたときに、チャリンと音がしたりとか、侍が、こうやってるところ、風がふ〜って吹いたりとか、ああいうの、けれん味っていうんですけど。けれん味なんかを非常にうまく使ったのが劇画なんですね。

  • 当初は、劇画っていうのは、メジャーな作品と比べると、非常にマイナーな扱いだったんですが、これは、徐々に徐々に手塚系の漫画と、こういう写実的な劇画というのが混ざっていって最初は離れてたんですが、これが徐々に混ざっていって、今の日本独自の漫画をキャラクターの描き方っていうのに結び付いていくんですね。手塚治虫さんの弟子の中には少女マンガ家の人たちもたくさんいて、ある意味でいうと、

  • 孫、ひ孫みたいな形でディズニーのDNAみたいなものが日本の漫画の中にも受け継がれていってるんだな、と思うんですね。ただ、先ほどいったように、日本っていうのはマッシュアップ性が非常に上手なので、今考えると逆に日本の漫画が、アメリカのアニメーションに影響を与えるぐらいになっていって、独自の変化を遂げているというところが非常に特徴的なところなんですけども。

  • こうやって、少年漫画、あるいは少女漫画っていうのが徐々徐々に融合して、いろんな表現が、日本独自の表現になっていく中で、さらにディズニー系の漫画の技法というのが極度にローカライズされて、今言った、マッシュアップですね。一種の品種改良みたいな形になって出てきた表現があるんですね。これが、いわゆる萌えっていうやつなんですね。この萌えっていうのはもともとは1980年代に発生したもので、アダルトゲームとか、恋愛ゲームなんかを発生源とする、

  • いわゆる美少女キャラを示すことばだったんですね。ただ、その後、美形の男性キャラを描くメンズ萌えっていう、端っこにありますけど、メンズ萌えっていうのも出てきたりして、現在では萌えっていうのはキャラクタービジネスにおける重要な要素の一つに、今なっているということです。こうして日本では東と西で日本古来の技法と、それから海外から西洋から入ってきた技法とがうまくミックスされて、時に2つの流れが併存して走ったり、

  • それから交ざったり合流したりして、川のようにね。日本の中で、特におもちゃ産業って、任天堂とか、セガとか、ああいう、ゲーム産業とか、おもちゃ産業なんかが、バックアップする形で日本独自のキャラクター文化というのがずっと築き上げられてきたということなんですね。きょうの本題では、キャラクター、キャラクターっていうことばを考えてみようと思うんですが、キャラクターってなんだろうと。キャラクターの語源っていうのは、ハリウッドで使われていた

  • ファンシフルキャラクターズ、仮想の人格であるといわれているんですね。このことばはフィリックス、ミッキーマウスよりも先に、黒い猫のフィリックスが実は、ハリウッドでは最初に出てきたアニメーション漫画なんですが、このフィリップスが活躍していた1920年代には、ちょうど大正の終わりから、昭和の始めですよ。すでに使われているんですね。それに続いてディズニースタジオでも、

  • ミッキーマウスにさまざまなフィルムに登場させるときに、いわゆる俳優の一種だと。実際の俳優を同じように、絵で描かれたやつも俳優なんだと。そういう扱いをしてくれということでディズニーは主張をして、契約を結んでいったと。ミッキーマウスをさまざまなフィルムに登場する俳優の一種として扱うために、このファンシフルキャラクターズということばを盛り込んだと言われています。ディズニーは、アニメーションの主人公に、実在する俳優と同じような権利を主張したんだ、ということなんですね。

  • 反対に、フィクションじゃなくて実在の人物がキャラクター化されるケースもあるんですね。その前にキャラクターって何かっていうのを辞書で引いてみました、広辞苑では、性格。人格。個性。それから小説・演劇・漫画の登場人物。文字。記号。新明解がなかなかいい定義をしていて、性格とか性質ということばがあって、それを、さらに狭い意味で、演劇とか小説なんかに出てくる登場人物の役柄だっていう。

  • これは非常に新明解は、いい定義をしていますね。それから学研の現代新国語辞典では性格とか性質。キャラクターのもともとは、性格とか性質っていうのがあって、それの典型的なパターンをキャラクターっていうようになったってことなんですね。話を元に戻すと、キャラクターがフィクションじゃなくて実在の人物がキャラクター化されるケースもあるよということで、

  • これは、皆さんは知らないかな。昔、阪神タイガースに田淵さんっていう野球選手がいて、その選手を漫画化したんですよ。信じないかもしれないけど、スタジオジブリのスタッフなんかが作ったりしてたんですけど。「頑張れ田淵くん」って。こういうように実在の人が極端にデフォルメされ、漫画化されたりするということ。それからものまねタレントが、ある人のものまねするなんてことありますよね。そうすると、おもしろいのはキャラクターの意味っていろいろあって、

  • ひとつは、先ほどいったように自分の感情を移入するためのものとしてキャラクターがあります。かすみドールもそうです、ダッフィーもそうです。自分の分身でもあります。この自分の分身でもあるということは、自分の分身に制限されることが起きるんです現実の世界で。例えばものまねして、例えば、千昌夫のものまねをコロッケがすると千昌夫が、コロッケがものまねしているみたいに歌ったりとかね。

  • 一番有名なのは五木ひろしさんっていう歌手がいますが、五木ひろしさんが、コロッケとかいろんな人が、こうやってやるんですよ。それを、逆に五木ひろしが意識してやるようになったとかね。逆にいうと外のキャラクターが逆にむしばんでいくなんていう逆のケースも出てくるんですね。それから、自己PRの手段としてもキャラクターが使われるってことがあります。

  • よくあるのが、ちょっととがってるタレントが、きもかわキャラクターを置いてて、普通の人だと気持ち悪いっていうんですけど、これってかわいいって言ったりするケースありますよね。そういう物を置くことによって、ちょっと特別な人間なんだってアピールするための道具としてキャラクターを使うってことですよね。自己PRのために使うなんてケースもあります。このようにキャラクターっていうのは、いろいろな意味合いがあるんですが、

  • キャラクターっていうのはどういう構成要素からできているんでしょうかということで、そのキャラクターの構成要素、このキャラクターの構成要素っていうのを、いろいろ見ていくと2つに大きく分けられて、ひとつは、外見のデザイン。かわいいとか、クールとか、キモいとか。もうひとつは、いわゆる設定といわれているもの。いわゆるストーリーなんですね。昔でいえばストーリーです。このお話に出て来たキャラクターです。そのストーリーり部分、キャラクターというのは、特に設定の部分が非常に重要で、この設定の骨格を成すのが、パーソナリティー。さっき辞書でいったパーソナリティーとか人格とか特性とか、そういう部分なんですね。

  • これはどういうことかというと、キャラクターが個性だというのを見つけたのは、当時のアニメーション作っている人たちはミッキーマウスとかミニーマウスとかがちょっとした、しっぽを振るしぐさとか、ウインクしたり、まばたきしたあり、よく、しなを作るって、こういうくねくねした。そういうのがそのアニメーションのキャラクターの独自の動きだっていうことが確立してくると、これが一種のキャラクターとして、みんなに認識されてくるということなんですね。いわゆる、癖とか言い方とか、動き方の癖みたいなのが個性であってパーソナリティーで、

  • これこそがキャラクターに命を吹き込むんだと。逆にいうと、キャラクターの構成要素って2つあるっていいました。デザイン外見と、設定ストーリーと。デザインの部分だけでは、キャラクターとはいえないんですね、厳密にいうと。単にイラストだけ描いたんじゃキャラクターと呼べないと。外見とその設定、性格設定が相まって、一つの世界観というのが形成されて、キャラクターが世の中に流通するために必要不可欠な条件になっていくということなんですね。

  • それは、送り手と受け手の共通認識とか、共同幻想っていう言い方もいえるかと思います。ストーリーの中にいろんなキャラクターに対する設定がなされていて、それが、一人歩きしていく、あるいはアニメーションなんかだと声優さんがキャラクターにおもしろい声を当てることによって、さらに個性が増えていくなんていうケースもあります。それから今のSNSで育まれているキャラクターなんかは、ファンの意見が取り込まれて、

  • 独自のものになっていくなんていうこともあります。このように共通認識。これが、みんなに認識されるっていうことが、これが世界観ということで、特にSNS時代なんかは、自分だけの物語というのが非常に重要になってきます。これを後ほど詳しくお話します。キャラクターにとってはとにかくみんながこれこれは、こういうものなんだっていう、例えば、よくいう、丸を3つ書いたらミッキーだと言うわけですよ。

  • よく丸を3つ描いて塗りつぶすと、これはミッキーマウスだという認識があるわけですね。こういうように、あるものが、これは何々のキャラクターだと思うっていうことが...。この絵は、下手だからミッキーに見えないけど...。もっと大きいよね、ミッキーの耳は...。こんな感じになるよね。こうやるとミッキーになるということなんですが。こういう共通認識を持つことが、キャラクターが普及するための基本的な条件なんですね。

  • この共通認識がキャラクターを支える下部構造で、この土台なしにはいろんなマーチャンダイジングなんかはできないっていうことなんですね。それから、ついでに言うと記号っていうことばも併せて、ここで触れておきたいと思うんですが。くまモンの絵で、ちょうど地震が起きたときにこういう絵がネットなんかでも話題になりました。くまモン頑張れっていうようなやつが。なんでこの絵が日本人の心を打ったのだろうかということなんですが、

  • このくまをみると、外国人はなんだか、よく分からないなとしか思わないんだよね。ところが日本人は熊本県のキャラクターだって分かってるんです。これは、熊本県のキャラクターだって分からない人が見たら単なる、ほっぺたの赤い動物にしか見えない。こういうようにキャラクターというのは、これこれはこういうものなんですよっていうのは、みんなに明らかにするもの。これがキャラクターで、

  • 要はキャラクターっていうのは記号だっていうことなんですね。この記号表現、例えば、交通標識こう見ると、この内容はここに5分以上、車を止めちゃいけませんよっていう認識っていうのが分かるわけですね。このように記号というのは、あるものを通じて人々に共通のイメージを抱かせるのがこれが記号だということです。記号論の基礎の基礎ですけども。

  • 記号っていうのは、一方で、記号っていうのはイコール、イメージで、例えば、非常に高いもの、ものっていうのはお金を出して、あるものを買うと。例えば、バイクを買います、すごくいいバイクを買う。バイクを買うというのは、お金を出して、物の所有権を得て、それで移動手段として得るというのが本来的な意味なんですが、そのバイクが非常に高いバイク。1000万するバイクだとしたらそこになんらかの意味が出てくるんですね。

  • 非常に高いバイクだと。これを持っている人はかっこいいんだと、お金持ちなんだということが分かってくるんですね。このように、記号の持つ意味っていうのは、必ず、そこに出てくるわけなんですね。共通認識があることがキャラクター産業が発展するために非常に必要な条件で、例えば、昭和のブリキの玩具なんかを見ると、コレじゃないロボで出てくるので有名ですけど、これは、ウルトラマンとか出てきたときに、

  • どう見ても、「ウルトラマン」じゃないだろって、がっかりするわけですよ。これをパロディーしたのが、コレじゃないロボっていうやつなんですけど、でも、昭和の子どもたちは、箱絵を見て、これ、ウルトラマンなんだよな〜って頭の中で脳内変換して、そうだと思い込んでたんですね。この土台なしにはキャラクターっていうのは、うまく普及しないんですね。こういうように共通認識を広めること、これが実はすごく大事で、これがちゃんと広まると、当該キャラを象徴する一部分だけでキャラクターの記号として人々に受け止められるようになるんですね。

  • これは、何々だというふうに受け止められるようになるんですね。そうすると、例えば、ハローキティのリボンとか、「鉄腕アトム」の、とんがった髪形とかっていうのを見ただけでも、これは「鉄腕アトム」なんだとか、リボンあっただけで、これはキティちゃんなんだって分かるようになるんですね。皆さんがよく使っているLINEスタンプなんかもそういうように、キャラクターの一部分が強調されているだけで、これって何々なんだって分かるようになる。これが記号ってことですね。

  • それ以外にも記号の持つ意味っていろいろあるんです。これは長いんで簡単にいいますけど、記号の持つ意味は、これはよく皆さんが知っている「よつばと!」のキャラクターで、記号っていうのは、ある意味で、逆にいうと、キャラで記号で分かる理由って、難しいこと書いてあるんですけど、実際4つの髪形、結んであるところで分かると。これ「よつばと」のキャラクターって分かるんですよね。より、こういうふうに記号っていうのはシンプル化すると、こっちのが怒ってる感じがする。

  • 記号があることで、より感情がストレートに伝わると、こういう表現もありますけど、キャラクターっていうのは記号化することによってよりシンプルに伝わるようになるってことですね。キティちゃんの絵そのものよりリボンで一発で出したほうが、キティちゃんって分かるみたいな、そんなことが出てくるんですね。こういうキャラクターっていうのは、いろいろと効果があります。物を売ったりする販売促進とか話題を作るとか、注目を集めるとか、ごく普通の文房具とか、

  • お皿とかにキャラクターを付けただけで、その機能は変わらないのに、例えば、子どもの文房具に、筆箱に絵がついてて、筆箱としての機能は変わらないわけですよ。だけど、筆箱に絵がついてると、子どもがこれ欲しい!っていって買うということで、売り上げが増えると。とりわけ、きょう、取り上げる萌えには強力なプロモーション効果があって例えば、「あきたこまち」、2008年にJAのうごっていう、

  • あきたこまちの袋が、最初は地味な袋だったんですけど、これを萌え絵に変えたんですね。そうしたらたった1か月で、それまでの2年分の販売を記録したと、これが非常に話題になったということになりました。西又葵さんという、僕と一緒に仕事をした人が描いてるんですが、こんなことがありました。

  • それから同じようにコーヒーのパッケージ、コーヒーの味は変わらないんですよ、でも萌え絵が付いてるとかね。あるいは、パピコ。皆さん大好きパピコですよ。パピコの味が変わったわけじゃないんですよ。でもキャラクターに萌え絵がついてると、それが売れちゃうとかね。あるいは、非常に不思議だなと思ったのが、萌えマーケティングというものが、非常に一般化して、

  • 公の機関も萌えを認めるようになってきて、この左側のポスターは大阪の淀屋橋という所ではってあったポスターを僕が撮ったものです。内容は指名手配のお話と、車の中を空っぽにしましょうねという、車上荒らしに遭わないようにということで、なぜ萌え絵が描いてあるのかというとよくわからないけど、萌え絵があることで、みんなが注目すると。さらに萌えキャラというのは、体育会系にも萌えキャラが派生、波及してまして、自衛官募集でも萌えキャラをよく使うなんてことが起きてます。ニュースとかもずいぶん話題になりました。特に自衛隊では萌えキャラがうけてるんだよね。よく分かんないんだけど。

  • 各地の自衛隊で、やったら増えたんでしょうね、応募する人が。驚くべきことに、いろんなところ、各地の萌えキャラ、自衛隊募集してるんですよ。岡山だけじゃなくてね。それ以外にも、最近ネットで話題になったね、アーケードゲームの「艦隊これくしょん」なんかをやったりしてるところから見ると、相当、萌えキャラの吸引力があるんだろうなというのが分かりますけれどもね。

  • それから、ちっちゃい子向けにお弁当屋さんも当然、萌えキャラを活用中だし、山手線にも萌えキャラが出てるなんてことが最近ありました。それから、皆さん18歳以上で投票権がある人は選挙にも行ったと思いますが、こういう選挙なんかにも、萌えキャラが利用されるなんてことが起きるようになってきました。このように、キャラクターの効果というのは非常に注目を集めるという部分があるんですね、物を売ったり。

  • 物を売ったり、ただ一方で非常に怖い部分もあって、これは、去年もお話したんですが、キャラクターのもう一つの効果っていうのが浄化とか脱臭効果、エステーとか小林製薬みたいな感じですけど、臭いものの臭いをとっちゃうっていうね、不思議な効果があるんですよ。これは、ちょっと前に各政党が自分のところの関係するものをキャラクター化したものなんですけど、政治家をキャラクター化してもなって感じもしますよね。

  • 現在では、とにかく自民党から共産党まで、右から左まで、全部そろってキャラクターをPRに使ってます。場合によっては、これ一番下のほうを見ると、ゴキブリが、かわいいキャラクターになっていると。ゴキブリみんな嫌だけど、キャラクターにしたらかわいく見えるんじゃないかと。あるいは、ちょうど、左下のほうは、これはニュースなんかで見て、知ってる人も多いかと思いますが、

  • かつて、反社会集団でオウム真理教っていうのがありました。彼らは非常に自分たちの宗教に人を引き込むときに、キャラクターを設定して、要するに、教祖をキャラクター化して、取り込むということをよくやったんです。それからアニメーションなんかを使ってプロモーションしたりとかして、そういう意味ではキャラクターとかアニメーションは怖い部分もあるんですね。

  • 同じように、古くはディズニースタジオが第二次世界大戦中に、いろんな戦争のための軍意高揚のためにキャラクターを使ってたっていう、そういう歴史もあります。夢と魔法の国って言っている割には、本当はいろんなことがあった、ディズニーの黒い歴史ですけれどもね。これはみんな戦車とか軍用機にディズニーキャラクターが付けられていたという暗い歴史があります。ディズニーキャラクターっていうのはある意味で軍隊の代弁者だった時代もあったわけですね。つまりこれぐらいキャラクターとかアニメーションは人の気持ちを違う方向に変える力を持ってるんですね。

  • みんな、ディズニーキャラクターですよ。こんな好戦的なディズニーキャラクターがいたのかって驚くでしょうけど、ドナルドダックもミッキーもみんけんかっ早いんですよ。気がつくと機関銃で撃ってくるんで気をつけろって感じですね。それを描いた漫画が、ここにあります。手塚治虫さんが、戦争中に描いた「勝利の日まで」っていう漫画なんですけど、この中には飛行機の中から機銃掃射してミッキーマウスが描かれているという大変、恐ろしいものがあります。

  • このように、アニメーションとか漫画っていうのは、いろんな効果がある。同じく、日本に爆弾を落としたB29っていう爆撃機ですよ。ディズニーキャラクターがついているんですよ、恐ろしいですよ。ディズニーキャラクターの飛行機から爆撃、人を殺すような爆弾が落ちてくる。大変恐ろしいことにも使われるのが、これがキャラクターなんですね。いろんなキャラクターのいい面、怖い面を見た中でキャラクターっていうものをもう一回、振り返った時に、

  • キャラクタービジネスっていうのは、知的財産権だということを、よくいいます。知的財産というキャラクタービジネスなんですが、今言ったように、漫画とかアニメとかゲームとか、いろんな表現がありますけど、こういうものをある種まとめる、ひとくくりにする、そういう機能を持っているのがキャラクターなんですね。さっき言ったように、お皿にキャラクターを印刷しただけで売れ行きが変わると。それからキャラクターのもう一つすごいところは、皆さん、法律を勉強なさっていると思うんですが、

  • 特許権と意匠権なんかと同じようにもいわゆる工業所有権と同じで量産できるシステムなんですね。この知的財産権っていうのは、同じ著作物でありながら、一点ものの美術品との違いはここなんです。大量生産できるんです。美術品っていうのは一点だけなんですが、大量生産できる。ここが、ちょっと違うところなんですね。しかも、工業所有権と違って、

  • ちゃんと精査しなければ権利って生まれないんですけど、キャラクターっていうのは、作品として成立した時点で、権利が自然に発生して、登録とか審査の必要がないっていうのが非常に強いところですね。こういうキャラクターを使ったマーケット、どれぐらいの規模ということですが、およそ2兆円強といわれています。大きく2つに分けると、1つは商品化権、おもちゃを作る権利。版権と呼ばれている、これは例えば、ゲームの権利であったり、出版する権利であったり、いわゆる権利ですね。それが版権といわれているものですが。この2つ。

  • 商品にプリントしたりするのを商品化権。あるいは版権というのは、本とかゲームとか、そういうのも版権といいますが、この2つ合わせて、おおわそ2兆円。相当大きなマーケットだと思ってください。それから、キャラクターっていうのはいろんなところから出てきます。アニメとか特撮から出てくるんですが、商品のキャラクター、広告に使ってるキャラクター、場合によっては商品そのものがキャラクターになるなんてケースもあります。それから、ゲームから出てくる場合もありますし、先ほどいったように人間がキャラクター化するなんてこともあります。

  • 一つ覚えておいて欲しいのはライセンサーとライセンシーということばがあります。これは、ちょっと覚えておいたほうがいいと思います。ライセンサーというのは、イメージでいえばディズニーとかサンリオのように権利を持っているライセンサー。ライセンシーというのは、その権利を持ってる人たちから、いろいろなものを作ってもいいよ、いろんな宣伝に使っていいよ、物を売っていいよ、作っていいよと、許可を受けた人、これがライセンシーです。認可を受けた人。

  • その代わり、商品が売れたら、何%っていうものを元の権利者に返す。これがロイヤリティーといわれている仕組みです。この仕組みだけ頭に入れておくと分かりやすいと思います。ライセンサーとライセンシーね。こういう中で、変わってきたキャラクターとストーリーの関係ということで、キャラクターの消費のされ方がだいぶ変わってきたなっていう話をしようと思うんですが。

  • 今までキャラクターの消費っていうのは、ウォルト・ディズニーが確立した従来のキャラクタービジネスのやり方っていうのは、制作側が理想とする世界観を作品を通して人々に理解してもらうと、そのためには、主軸になるストーリーが必要で、いわば教典が必要だったんですね。よく大事なものを教典っていいますけど、教典が、必要だったんですね。ストーリー主導の時代においてはキャラクタービジネスの中心っていうのは、あくまで物語にあったんですね。物語の主人公...。白雪姫だったら、白雪姫だし、

  • とにかく基本はお話があったらその中の主人公が商品化されたりなんかするキャラクターで、そうやって同一の商品を製品として、マスで売り込むっていうのが資本主義の初期、大量消費社会では一番効率がよかったし、制作側も、主人公以外のキャラクターの細かい設定とかあんまり気にしなかったんですよ、脇役のキャラクターの設定とか。昔のアニメはそうなんですよ。脇役のキャラクターの設定とかはあんまりちゃんとしていないんです。

  • 今はすごく細かくやられているんですけど、そういうのが、あんまりないんですね。ところが社会の情報化がどんどん進んで、1980年ぐらいから、個別のキャラクターの詳細を楽しむ傾向が出てきたんですね。これが物語の中で僅かしか登場しないキャラクターの隠れた事実を調べて独自の解釈をするとか、

  • それから設定の裏情報なんかを求めてファンがいろんなところで、オフ会をやるとか、要は、ファンの関心っていうのがスピンオフとか、それからSNSなんかで最近なんかは二次創作なんかのように、いわゆる教典といわれている精神から外伝にまで広がってきたと。いわゆる教典。正史から、ここから、スピンアウトして、外の、こっちに関心いくようになっちゃったんだよね。サブキャラのほうに興味があるとかね。そんなようになってきちゃったんですね。

  • そうなってくるとストーリー自体を消費するということから、データ情報の消費への構造転換が行われるようになってきたと。そうすると、これは、有名な評論家の東浩紀さんが言っていることなんですが、

  • 物語の伝統的なやり方から、情報を消費するようなやり方に変わってきたと。物語を構成する個々のパーツとかデータベースなんかを、楽しむようになっちゃったと。もはや部品を愛するようになっちゃったと。こういうような状態ではキャラクターの理解するための情報が、

  • 非常に重要視されるようになって、ストーリーはもはや全体を貫く大きな柱というよりは、キャラクターを理解するための一つの位置情報みたいな扱いになっちゃうんだよね。場合によっては、ある特定の世界観の中に、複数のキャラクターが存在して、例えば、ある世界観があります。世界観があって、この中に複数の話が並行して起きるんですよ。これは主人公Aの話、これは脇役Bの話、これはCの話、

  • これが3つが合流してなんかになるみたいな、こういうふうになってきた。一つの世界観の中に、いくつものストーリーが並行していって、それを飛び飛びに拾っていって、楽しむみたいな方向に、今なりつつありますね、キャラクターの消費のしかたというものが。特にそういう中で、細かな情報を好むと、部品を愛するようになってきたという中で外見を構成するパーツをね、要素として、それをキャラクターとして単独で思考する、変わった傾向が1990年ぐらいから出てくるんですよ。

  • これがいわゆるメガネっ娘とか、ツインテールとか、ツンデレとか猫耳とか、そういうものが出てくるようになるんです。人間の身体属性がキャラクターの一種だと考えられるようになる傾向も出てくるんですね。もう一方で、キャラクターの細部を非常に重視する一方で物語時代には、なんらおもしろさを求めていないという例外も出てくるんですね。いわゆる、BLといわれているやつです。美男子の同性愛がテーマの、ジャンルの中では、やおいということばがありますよね。

  • やおいっていうことばを知ってる人いる?何?やおいって。やまなしね。ヤマなしオチなし意味なしっていうね。要はストーリーなんかどうでもいいというようになってきているのが、これが、やおいなんですね。こういうようなことも出てくるようになったと。これは非常に今までのストーリー中心のキャラクタービジネスっていうものを根源からひっくり返す、そういうことなんですね。

  • こうやって、キャラクターを情報として消費するようになった結果、マスメディアに代わってゲームとか、そういうものがキャラクターの舞台になってくると今度、消費者とキャラクターのコミュニケーション関係にも変化が生まれてきまして、ゲームっていうのは一種のしかかり品なんですね。ちょうどここに「ラブプラス」の絵が描いてあるんですね。「ラブプラス」って聞いたことある人います?知ってる?ちょっと知ってるね。

  • 「ラブプラス」って要するに、架空の世界の中に生きるキャラクターと恋愛感情を育んでいくっていう、そういうゲームなんですけど、こういう「ラブプラス」なんかだと非常に分かりやすい例なんですが、自分自身とキャラクターとのコミュニケーションの関係が完成されていないと、自分流にやっていかないと、オリジナルにやっていく、さっきのダッフィーもそうですよ。自分流のオリジナルの世界を作っていくっていうのがキャラクターとの関係になっていくんですね。「ラブプラス」なんかは、意外にもプレーヤーが最初に選択できる相手は3人しかいないんですよ。この3人の中の誰かを相手にして、自身のストーリーが築かれていくんですね。

  • これは彼女との関係を、3人の中からどれか一人を選んで長期的に続けることで、ほかのどこにもない、僕と彼女だけの独自の関係が築かれていくということなんですよ。これに、みんな、しびれてくると。そういう意味でいうと、ほかのどこにもない、独自のストーリーを築く。それに、物語を形成するとき、さっきいったようにウォルト・ディズニーが最初から完成された世界観というのをイメージしてたのと逆に、残りの部分の余白があるんですよ。

  • つまり、完成された世界ではなくて余白。つまり世界観が完成されてないんですよ。余白があるんですよ。余白を自分流に埋めるっていうのが、これが楽しいっていうね。これが今のキャラクター商品のトレンドになりつつあるんですね。あえて、完成品よりも自分流の色に染めると。いわばストーリーの物語のガレージキット化ですよ。ガレージキットっていうことば、分かる人います?ガレキとか、知らないか...。

  • ガレージキットって、要は自分流に色を塗ったりして作るプラモデルのことをいうんですけど、ガレージキットってね。要は、余白を自分流の色に染める、もっと分かりやすいことばで言ったら、塗り絵みたいなもんですよ。アウトラインは決まってる。それを自分流の色に塗り替えていくっていうことですね。物語形成の余白を自分の色に染める、そういうガレージキット化。これをやればやるほど、自分の日常とキャラクターの世界が融合していくんですね。どんどん、どんどん、はまっていくと。

  • キャラクターと自分のをめぐる物語の在り方について、もうひとつ特徴的な新しい概念が21世紀になってから出てきたんですけど、これは、今ちょうど大ヒットしている映画の新海誠さんなんかにも関係している話なんですが、

  • セカイ系ということばが出てきます。セカイ系っていうことば、皆さん知ってます?セカイ系って今どき使わない?昔は、セカイ系っていうことばが出てきて、ぼくときみと世界の危機、中間がなくてみたいな世界ですね。これが出てくるようになったんですね、そうやって。みみみこのように非常にキャラクターと自分との関係というのも特徴的な概念が21世紀になると出てくるようになったんですね。そこはとにかく、やっぱり、今までとは違う世界観が出てくる。これはもともと「エヴァンゲリヲン」とかね、

  • 自分語りの演出と、90年代にいろんなゲームが出てきました、そのゲームは非常にシンプルなので、シンプルな世界観とが融合して、こういう考え方が出てくるようになった。こうしたキャラクターのデータ消費傾向によってメディアの展開のやり方っていうのも、だいぶ変わってくるようになりました。かつては、コンテンツのメディアの展開っていうのは、出口っていうのは、原作本があって、川上から川下に

  • 広がっていくのが今までのやり方だったんですね。大体、原作本を出発点にして、テレビ、映画、おもちゃって、枝分かれして展開していくピラミッド構造だったんですね。ところが現在の大体のメディア展開が同時多発的に行われるようになってきたと。だから、そういう意味でいうと、ピラミッドじゃなくてフラットな感じになってきちゃったんですね。もはや、原作と2次3次の商品の間には、いわゆる順位っていうか

  • ヒエラルキーが存在しないんですね。こうした時代の変化にいちばん早く対応したのが実は、メジャーな資本の作り手じゃなくて、同人サークルとか、そういうのを中心とする、実は受けて側の人たちが、そういうやり方を新しくやり始めた。特に、これも、たぶん、皆さんが1995年〜1996年ぐらいかな。だから、かろうじて意識がちょっとあるかもしれませんけど、

  • 一番きっかけになった例として、二次創作を中心にしてメジャー資本と渡り歩くようなキャラクター作りをしてきたってことで、東方プロジェクトっていうものについて話をしたいと思うんですが、東方プロジェクトっていう、東方プロジェクトってことば自体を知ってる方。...知ってるね。じゃあ、細かい説明はなしにします。東方プロジェクトっていうのは、もともとは大手のゲーム会社ではなくて、個人が作り出した、シューティング形式のゲームで、

  • 原作者のZUNさんっていう人が、制作のすべてを一人で行っているんですね。一番東方プロジェクトがヒットした最大の原動力は、まず、二次創作を許諾とか、そういうものをなしで自由にしていいということをやったと。これは非常に、やはりキャラクタービジネスとしては画期的なことで、その理由は、この東方プロジェクトを作った作者のZUNさんという人が、

  • 自分の作品もいろんな人の過去からのものに影響を受けて二次創作してきた。だから自分の今のこの作品自体が二次創作みたいなもんなんだから、さらにこれを二次創作するものを断る理由は一切ないと番組とかでも答えてるんですね。その結果、東方プロジェクトっていうのがファンによって、どんどん、拡大、再生産されるようになって人気コンテンツになったと。もう一つ、東方プロジェクトの成功の鍵になったのは、さっき言ったようにいい意味で、適当なクオリティーコントロールの緩さにあるんですよ。余白があるということで、

  • 例えば、楽曲、一つ作るのに、普通は、ゲームの楽曲作るとなると、結構な時間をかけて作ることになるんですよ。1曲、3分の曲とかを。それを、このZUNさんは3時間ぐらいで作っちゃうんですよ。取材したときに言ってたんだけど。なんで?っていったら、ゲーム音楽として最低限のレベルのものを作ったら、それ以上は深追いしないんだと。効率的なことしか俺たちはしたくないんだと。あとは、時間をかければ、もっといいものができるんだけど、

  • それは制作プロセス全体からすれば非効率なのであくまで、時間制約の中で、それを作る。あとの部分は、二次創作する人たちが埋めてくれたらいいんだよっていう言い方なんですね。だからさっき言ったように塗り絵消費というと、塗り絵のフレームのところだけ彼は提供していて、あとはみんなが好きなように塗ってくださいという考え方なんですね。これは、やっぱり従来の大手資本の中にはない発想で、たぶん一昔前のメーカーの開発者とか、雑誌の編集者なんかが聞いたら、

  • ちょっと驚くような考え方なんだよね。最低限の枠組みを決めて、あとは、ファンが余白を勝手に決めてくださいと。塗り絵です、というようなのは、なかなかない考え方なんだよね。さらに、東方プロジェクトは大ヒットコンテンツであるんだけど、あえてアニメ化はしないと、アニメ化されるとアニメはゴールで終わりの始まりという、そんなような、やゆされることばもあって、あえてアニメ化しないということだそうです。

  • 二次創作とかほかとのコラボーレーションしやすいようにシステム化されているっていう例では、初音ミクなんかもそうで、これも、さっき言ったように、緑色の髪で長くてツインテールにしてたら、みんなミクだって認識をみんな持つんですね。これはネット上に転がってるもので、有名な絵でみたことあるでしょうけど、初音ミクを漫画家、誰々さんさんふうに描いたら、どうなるかっていう絵ですけど。要は権利元のクリプトン・フューチャーという会社もパッケージ以外には公式イメージを載せていないんですね。

  • こうやって青緑のツインテールの女の子っていう最低限の条件を満たしてくれれば、これでミクだと彼らも思っているということだそうです。われわれが取材したときに関係者の方がおっしゃっていました。こういうように、二次創作に当たっては、オリジナルと派生作品がどんな関係かということが問われてくるんですけど、例えば、例で出しましたけど、世の中にはいろいろ二次創作なのか、パクリなのかオマージュなのかよく分からないものが、いろいろあります。怪しいなというものがいろいろあります。

  • 例えば、ドラえもんなのか、ミッキーなのか。あるいは、コラボしているのはありますね。それから「ウルトラ」って書いてあって、女の子が十字クロスしてれば、ウルトラマンじゃないのか、ウルトラマンじゃないな、みたいなね。どこまでが許されるのかというね。これは屋台の写真をおもしろいんで撮ったりしたんですけど。どこまで許されて、どこまでがパクりになるかっていうのを表にまとめてみました。これを細かく見ていくと時間がないので、深追いしませんが、皆さん、参考にしてください。

  • 盗作、引用、パロディー、オマージュ、それから二次創作、それからシュミラクールってことばがあります。シュミラクールってことばが、最近はやってきたことばなんですが、これはオリジナルとコピーの中間、あるいはオリジナルなきコピーということで、より具体的には、あるある風とかね、こういうパターンあるねと。さっき、ちょっと休み時間にプロモーションビデオなんか流してね、プロモーションビデオあるあるなんてね、

  • あれって、シュミラクールですよ。要するにこういうのってあるよね、こういうパターンってあるよねっていうのがシュミラクール。原作は何かはっきりしないんだけど、でも、これっぽいよねっていう、これがシュミラクールという考え方です。さらに表をシンプルにすると、下に黒囲みにしてるんですけど、バレて困るのがぱくり。バレるとうれしいのがオマージュ、みんな見抜いてくれるとうれしいな、あれが原作なんだなって気づいてくれるとうれしいな。

  • それから、バレないと困るのがパロディー。要するに、これがこれのパロディーなんだとバレないと意味ない、批判精神がはいってるのでね。この3つが、二次創作では重要な概念になってくるかなというふうに思います。二次創作とかね、あるいは著作物を引用するっていうことで、いよいよ、最終コーナーに入ってきまして、キャラクタービジネスの萌えと擬人化についてなんですけど、早くから萌えを戦略的にビジネスに活用してきたのが、このライトノベルっていう分野で、

  • 活字の作品におけるビジネスの不足をこういう、拡張可能な余白と、さっき言った、塗り絵の余白と考えて、萌えキャラのイラストで補う形をとったんですね。その最大の成功例が「涼宮ハルヒ」シリーズで、2003年に発売されて、累計800万部、いわゆるライトノベルの大ヒットシリーズなんですね。これが、ちょうど2003年に発売されたんですが、

  • この年っていうのは、あたかも萌えっていうものが80年代くらいからあったんですけど、これが一気にメジャーになったのが2003年で、このころに萌えが、一気にメジャーになったんです。表紙とか挿絵、これ、萌えっていうのは涼宮ハルヒもそうなんですけど、もえたんっていうのが、非常にヒットしまして、単語を擬人化したらどうなるかっていうね、もえたん、

  • それで単語を覚えようと、こんなシリーズが当時は不思議な本だといわれたんですけど、これがヒットになって、2003年ごろは、われもわれもと、こういう萌え系のコンテンツ活用が始まった時期なんですね、2003年というのは。この「涼宮ハルヒ」シリーズなんかもそうなんですが、もうちょっと最近のやつでいうと、

  • 「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーのマネジメントを読んだら」、「もしドラ」っていうやつですね。これは2009年ですけど、累計270万部ぐらい出たそうです。これは表紙や挿絵に萌えの絵が非常に多用されて、逆に、ビジネス書にも影響を与えたと。ビジネス書の中身は変わらないんですよ。作品の中に出てくる経営学の名著ですけど、

  • ドラッカーの「マネジメント」という本を、帯に、萌え絵を描いただけなんです。中身は全く変わらないんですよ、萌え絵をちょっと帯に使っただけで、これがまた売れちゃったらしいんですよ非常に。萌え絵の帯が装丁されただけで。萌えというのは、恐ろしい破壊力を持っているな...。ここで萌えと同時に考えてみようと、擬人化についても考えてみようということで、

  • 擬人化っていうのは、先ほど、いろいろ妖怪の話なんかのところでも出しましたけど、人に例えるのを擬人化というんですけど、人でないものを人に見立てて人格化したのが擬人化です。昔から擬人化って行われてきたんです。日本以外でも。洋の東西を問わず行われてきたんですけど、例えば1889年にミシュラン兄弟がタイヤを擬人化した、ミシュランマンとか、

  • ビバンダムっていう名前がつくんですけど、こういうものが出てきて、広告なんかでも、こういう擬人化したものっていうのが出てくるんですけど、その中でも、やはり日本っていうのは非常に多くの擬人化を生み出してきた背景があります。特に、日本では1960年代半ばから、欧州とかヨーロッパとかアジアにアニメをたくさん供給してたってこともありますし、アメリカをはるかに上回る数のキャラクターが生み出されてきたといわれています。

  • その中で、1980年代の後半に、先ほども歴史のところで話をしましたが、日本固有のキャラクターという表現が出てきたんですね。これが、いわゆる萌え絵で、その萌え絵をうまく使って描いたものが2003年擬人化したもが、びんちょうタンというやつなんですね。要は、炭を人間の女の子に例えたらどうなるのかと、このびんちょうタンを作ったところ、萌え擬人化の先駆け。萌えでもあるし、擬人化でもあるという先駆けなんですが、

  • それまで同人誌とか、限られた範囲で親しまれてた萌えと擬人化が、合体した表現がちょうどインターネットのインフラが広がりつつあるときだったものですから、そういうインフラの発展なんかにもうまくのっかって、一気に広がったと。このびんちょうタンは、雑誌の連載とか、最後、地上波アニメにも確かなったはずです。展開することになったんです。

  • このように、非常にメジャー化した、萌えと擬人化を足した、萌え擬人化キャラっていういろんなパターンを生むようになったんです。SNS上に萌え擬人化キャラの投稿なんかも増えましたし、それから、ここにも、いろいろ出てきますが、いろんなものを擬人化する。何を擬人化しているのか分からない。県を擬人化する。国、曜日、PS3、あるいは、KIRIMIちゃん.もそうですし。

  • おもしろいのが、電車を擬人化するっていうのも出てきました。電車を擬人化することも出てきましたし、おもしろいのは、ファストフードを擬人化するとか、曜日を擬人化するとか、なんでも、擬人化すればいいってもんじゃないだろうっていうぐらいまで、いろんなものを擬人化してます。分かりやすく解説するために、例えば、原子力発電、火力発電、風力発電を擬人化して比較する、確かに分かりやすいなというふうになってきたりします。

  • さらに擬人化っていうのは、複雑な進化を遂げましてですね。既存のキャラクター、すでにあるキャラクターを逆に人間に似せるという二重の擬人化構造をとるようになるんですね。円谷プロなんかがやってるやつで人気の怪獣キャラクターを逆に人間にする。ウルトラ怪獣擬人化計画っていうね。よく分かんないなと。キャラクターがさらに人間になる。二重、三重になっちゃってるなと。こういうものが表現として出てくるようになったんですね。コミックマーケットなんかでも、こういうように、

  • ふなっしーなんかのキャラクターを美少女に擬人化してコスプレするっていう猛者が現れたり、それから、キャラクターを人間にするっていう、キャラクターをより擬人化っていう意味で、先ほどの、日本人がこれ見たら、これ、外国の人が見たら、ジャン・レノとしか思わないんですけど。俳優の。でも日本人が見たら、ドラえもんだって思うわけ。ドラえもんだって。それはなぜかというと、青い服着てどら焼きを持って、首に鈴つけてるからって。要は、こういう手法を...。しかも、トヨタが使ってるんですよね、この手法を。

  • トヨタのような最も日本で広く大衆に訴求するようなテレビ広告で、こういう表現が用いられたってことは、キャラクターリテラシー、青い服と首の鈴でドラえもんと認識できるっていうことをトヨタも分かってるってことなんですよね。トヨタに関してはもう一つ、テーマでいうと、萌えと擬人でテーマでいうと、これ、いろいろ痛車です。オタク族とヤンキー族の交差。

  • 「ガールズ&パンツァー」とか、いろいろなものが出てきたりしました。こういうような痛車が出てくるなてこともありました。従来はね、相反すると考えられていたオタクとヤンキーが実は極めて近いところにあるということで、「ラブライブ」の痛車が、2013年に発売されて、大変人気になったと。これも最近トヨタとメルセデスで、プリウスのCMにトヨタが、自動車の部品を擬人化するっていうのを始めたわけですよ。

  • これも不思議なことで、それに対抗するメルセデスがPerfumeを萌えキャラにしてCMに投入するみたいなね。自動車萌え萌えアド戦争みたいな言い方をしてまいたけれども。こんなようなことも起きるようになったということなんですね。大手のスポンサーがこういうことを表現に取り入れることになったのは、萌えとか擬人化とかが、ここまで普及したんだなと驚きでもあるんですね。

  • 最後、最終コーナーにいよいよ入りまして、擬人化っていう中でいうと、ちょっとまた最近、話題になったことでいうと、これもネットでずいぶん話題になったので、ハローキティーは猫じゃないのかっていうのがインターネットで話題になったことがありました。これは、CNNなんかでも話題になったんですが、ロスの博物館でハローキティ展をやると、その学芸員さんがサンリオ本社にハローキティについて、こういうふうに展示したいだっていうふうに送ったら、

  • それを訂正されたと。それが驚くべき話で、彼女は女の子ではあるけれど、猫ではないので猫って書くのはやめてください。それから、ハローキティは四つんばいはしません。2足歩行です。彼女にはチャーミーキティというペットもいるんですみたいなことを言われたと。これに早速、いろんな人たちが反応するわけです。ハローキティって猫じゃなかったのかと。サンリオの公式見解は猫じゃないと。これは女の子なんだ。

  • アメリカの有名な歌手で俳優のジョシュ・グローバンとかも、ひげも鼻も猫だし、ナンセンスだと怒ったり、同じキャラクター同士でスヌーピーっていうのは「ピーナツ」の漫画から出てきて、この白い犬がスヌーピーなんですけど。

  • スヌーピーが自分で、スヌーピーは犬だぜって言ったりとか、これは物議をかもした。ちょっとブラックな表現で、われわれ、どう理解したらいいのって...。みんな大好き、こういう表現があって、しまじろうです。しまじろうが動物園にいって、友達が動物、嫌いなんだけどどうしたらいいだろうって、動物が動物嫌いってどういうことなの?って感じなんです。不思議だなと。

  • さらに動物型キャラクターに対するいろいろ難しいところがあって、これね、豚がハンバーグ食ってたら、共食いじゃないかとかね。キティが、猫飼ってたりとか、あと、ミッキーマウスもペット飼ってて、どう判断したらいいの?とキャラクター化って...。これはどうなのかな?っていうことになるんだよね。奴隷なのかなみたいなね。これを区別するために考えた一つの解答が、これは僕はいろんなところで言っていて、おかしなことをお前、言っているなといろんなところで言われているんですけど、

  • いわゆる擬人化というのは動植物とか物を人に近づける行為。これが擬人化です。一方で、人間を、さっき言った、ハローキティは女の子だって、人間を動植物に近づけるのは逆に、擬人化じゃなくて擬獣化と呼ぶのはどうなのって、いろんなとこで言っていて、こうすると一応、理論は整合性が取れると。人か獣かの区別をどこでするのかっていうのが、なかなか難しいところなんですが、

  • その時に出発点が人となる条件。このキャラクターは人が出発点なのかどうなのかという条件というのは、ひとつは二足歩行をしているかどうかということと、それから、服を着てるかどうか。フィリックスは服を着ていないので猫なんだろうなと。ミッキーマウスは服を着て、靴を履いて、特に服っていうのは、人か獣かの境目になるもので、非常に重要なポイントなんですね。これ「進撃の巨人」が非常に皆さん怖いっていうのはなぜかというと、服を着てないんですよ。

  • これはいろんな過去のSF、東西のSF映画なんかでも、人間が巨大化するっていうのはよくやるんですよ。人間が大きくなる。ところが、服、ちゃんと着てるんですよ。よく破れないのかって...、でもそまま大きくなってるな。そうすると、もとは人間だったんだなって、分かるんですよ、いろんなSF映画なんかでも。「進撃の巨人」は最初から服着てないわけです。素っ裸で。これは、自然界のものが巨大化した感じなんですね。つまり、もとの人っていうイメージがないんですよね。だから、これが、「進撃の巨人」怖いんだと。得体が知れないんだなと。

  • 獣としてのイメージがある。だから怖いんだよね。巨大化した巨人は。逆に、獣から人にする場合は、もとの性質が残ってるので服を着てないとか。猫がねずみを追いかけるとか、そういう性質が、うさぎがにんじん好きだとか、そういうのはあるんですが。そういうのが残ってるけど、どっちの方向からくるのかっていうのを考えると、おもしろいなって思いますね。

  • さっきのジャン・レノなんかもこの例で言うと、ドラえもんを人に近づけていく。それから逆にソフトバンクの犬のお父さんは、お父さんを犬に近づけて、擬獣化したと。ただ、サンリオについて、実は僕、サンリオの広報の人とよく話をするんですが、あるときサンリオの人と、この話をして、サンリオ広報の東松(とうまつ)さんっていう大変な広報マンの方がいて、その方に話をしたら、そんな難しいこと考えてないよ、サンリオはと。擬人化の比率が0か100かで考えているんだと、

  • 非常にシンプルな言い方をしていました。サンリオでは擬人化の割合がかぎりなく100%、人間に近くなっているのがキティだと、シンプルに説明をしているんですね。非常に権利もとの公式見解として、傾聴に価するなと、いつも思っているんですけども、ただ、出どころが動物だと、動物が動物をペットとして飼っているという、いろんなところで苦しいなみたいなところがあるんですが、

  • そんなところがサンリオの見解だそうです。これもお伝えいたします。それでこれからのキャラクターということで、最後、ネット対応のキャラクターということで、これから、どうなるかって、急ぎます。ネット対応の時代になってくると、キャラクターのパブリックイメージっていうのが非常に難しくなってくる、どうやって管理したらいいのか。

  • まんべくんって昔、炎上したんですが、聞いたことある人いますか?まんべくん、興味があったらネットで検索してください。いわゆる史上初のネット炎上キャラクターです。まんべくんっていうのは。まんべくんっていうのは長万部っていう町のキャラクター、かになんですけど、いろんなところで暴言を吐いたり、

  • 町長さんの首を絞めたりっていうところなんですが、毒舌キャラっていうので非常に有名になったんです。だけど、いろんなところで、他人に対してもひどいことを言うようなことを言ったりね。それから、とうとう最後に戦争についてキャラクターが語りだしたみたいなことがあって、これで炎上して、アカウント停止に追い込まれたということがありました。やっぱりこれはね、これからのネット時代のキャラクターの管理っていうものでは、

  • やっぱり人をどういうふうに、いわゆる、中の人っていわれる人が、これがどのようにしてキャラクターを管理していくのかが重要になってくるので、例えば、ディズニーですら炎上することがあるんですね。原爆投下の日の8月9日に、去年かな、ディズニーがなんでもない日おめでとう@って、元はアメリカのディズニーの「不思議の国のアリス」を知ってる人はよく知っているんですが。365日のうち364日はなんにもない日だから、だからなんでもない日だということなんだけども。

  • これを悪くとった自称・正義感のある人たちが、ディズニーにわ〜っとかみついたんですね。その結果、長崎の原爆投下の日に、なんでもない日おめでとうとは何事か!っていうネット民たちのクレームによって、ディズニー公式が謝るなんていう事態に陥りました。なかなかディズニーも災難に遭ったなという気はしましたけど。やっぱり、こういうふうに理由もなく、突然、たちの悪いフォロワーから絡まれるってことがネット時代のキャラクターには出てくるということなんですね。

  • 最近のもう一つ話題でいうと、萌えキャラ絡みのネットの話題っていうとね、碧志摩メグっていう、三重県伊勢志摩市のキャラクターなんですけど。これは、いわゆるフェミニズムを主張する人たちとオタクたちの間で激しい議論になって、女性の体を強調したキャラクターはけしからんと、町の公式で、よく分からないんですけれども、フェミニズムの人たちが、海女の人たちが、こういうふうに、萌えキャラみたいなもので評価されるのは非常に困るということで、

  • いろんなところで反対の署名をしたりとか、大変な問題になったりしました。これは実際に碧志摩メグっていうのはLINEスタンプが2週間で15000円ぐらい売り上げるような人気を誇っていたんですが、こういう女性差別的であるっていうフェミニズム活動家とか、ごくごく数名のちょっととんがった人たちが市に文句を言ったりしたことで、ネットでも意見が分かれました。それまで、このように問題なく流通してたコンテンツが、何かをきっかけにして、

  • ネット上の活動家の標的になって炎上するケースって、よくあるんですよね。これも同じように「のうりん」っていうアニメーションで町おこしをしていた岐阜の美濃加茂市っていうところが、こんなもので町おこしをするのはけしからんということで、かみつかれたと、同じ事件、碧志摩と。これは実は、その前にすでに赤十字の献血しましょうというので使っていたので、

  • 別に大丈夫じゃないのというのがあるんですが、やっぱりなんかの理由を付けて炎上したりするようなケースがあると。美濃加茂市はライトノベルを出自とするアニメの舞台で、ちょうどアニメの放送が開始された2014年から聖地巡礼などで非常に観光需要が潤っていて、町おこしに成功したよと、ところがさっきの碧志摩メグ問題と同じで、アニメのキャラクターを使って、

  • イベントをしたら文句を言う人が出てきたっていうことで、SNS上で物議をかもすようになってしまったと。このようにネット時代のキャラクター管理っていうのはすごく難しくなってきて、現実にはキャラクターの絵柄一つで文句をつけるっていう人たちもたくさん出てくるようになったし、こういったネット時代のキャラクター、こういった、キャラクターの是非はここでは言いません。ただ、いわゆる、キャラクターを管理する中の人にもネットの意見にきぜんと対応することが必要になってくるなというふうに思われますね。

  • 最後、成功事例から、どのようなことかっていうので、キャラクターの今、新時代のキャラクター、大きなお友達向けキャラクターのビジネスの要素、いろいろあります。大きく収集、育成、対戦、萌え、擬人化。この5つの要素だろうなというふうに思ってます。特に収集や競争するとか、対戦するとかっていうのは、古くからコレクションの基本要素だったんですけど、96年ぐらいから「ポケットモンスター」が出てくることによって、

  • 対戦型のゲームとかっていうものが、一気に普及するようになったと。この時点でインフラ自体はまだ、ぜい弱だったんですが、その後、インターネットの環境が整備されて2002年、2003年ぐらいから、萌えの要素が加わって、非常に、こういうアイドルマスターみたいなものも含めて、①、②、③、④、⑤の要素を含んだキャラクターがヒットするようになりつつあると。皆さん、よくご存じの「艦隊これくしょん」なんかも

  • この5つの要素すべてを取り込んでいるんだなということです。きょう、細かく触れることはできませんでしたが、基本的には、キャラクターをパワーとして評価する場合に、キャラクターパワー方程式というのを僕が作っていろんなところで話をしていたんですが、きょうは時間が押しているので、式の表記だけにとどめます。このような形で質と量の掛け算でキャラクターのパワーは出てくると。特に量の部分は、物語としての消費量と、それから、さっき言ったデータ消費みたいなもの。

  • これは自己体験の反復で、遊園地なんかやグッズなんかで反復することで量は増えていくと。このような形で、キャラクターのパワーっていうのはどんどん増えていくんだということ。それから、独自の体験っていうのが、コスプレとか聖地巡礼とか、2.5次元みたいなところで、いろんなところで経験を増やすことで、自分だけのオリジナルの物語を作ることで、

  • やっぱり、キャラクターと自分との間をパイプを強く、太くしていくということがあると思われます。あとは、この辺、コスプレの聖地巡礼で、ちょっといくつか出してみました。それから、コラボレーションみたいなことも最近は増えてきています。ご当地キティをきっかけとして、いろんなところで、人気キャラクターとご当地とのコラボレーションということが行われています。一方で、こういうコラボレーションというのは非常に難しい部分があって、

  • キャラクターとしての確立が十分ではないときにやってしまうと共倒れになってしまう危険性もあります。それから、最近の例で、おもしろいので、ちょっとだけ挙げておくとね、昔話をリメイクするのが増えています。昔話はみんながよく知ってる話なんで、リメイクしやすいと。現代流に解釈するっていうのが非常にやりやすくなってるところがあると思います。それから、最近また増えてるのが、

  • 原作者公認の二次創作っていうのが増えてきてます。これは「ガラスの仮面」という、人気少女マンガを原作者公認でパロディーにして二次創作でリバイバルさせるとか、それから皆さんよくご存じの「おそ松さん」。これも赤塚不二夫さんという漫画家は、亡くなっていますけれども、赤塚不二夫さんのプロダクション公認のもとに、生前、パロディーを非常に赤塚不二夫さんも得意にしていたので、そういった形で、原作者公認の二次創作みたいな形での作品が、みんなに受け入れられるようになってきたということです。

  • あと最終的に、こういう二次創作というのがどんどん進んでいくと、例えば「豆しば」とかキティなんかもそうですけど、キャラクターとしてどうやって二次創作しやすいかとか、展開しやすいかっていうようなシステム化みたいなものがキャラクターとして強みみたいなものになってくるところがあると思います。

  • この「豆しば」とかね、あるいはキティがいろんな形でほかのキャラクターとどうコラボしてるか。この辺がやはり、シンプルなキャラクターであるがゆえに、いろんな形で組みやすいということなんですね。こういった、システム化するっていうのはやっぱり新しい時代のキャラクターには必要になってきてるんだなと、つくづく感じます。最後、キャラクターっていうのは人間と同じで

  • 段階を追っていくんですね、キティなんかも最初のころは、そんなにコラボしてなかったんですよ。ご当地キティなんかが始まるようになったのも、デビューしてからずいぶんたってからなんですね。ご当地キティが始まったのは、デビューしてから...1998年ぐらいにラベンダーキティが出て、25年ぐらいかかってるんですね、デビューしてから。それぐらいからキティちゃんが、いろんなキャラクターとコラボするようになったので、

  • やっぱり幼年期に、きちっとしたキャラクターとして確立して徐々にタレントと同じようにキャラクターとして成長していくっていうのが必要になってく。やっぱり人間と同じように一つのキャラクターが人格として完成するのには時間がかかるということなんですね。やっぱりじっくり取り組むような、作り手側、運営側にも意志がなければ、なかなかキャラクター作りは時間がかかるんです。安易なキャラクター作りという中で、

  • うまくいかない例も、たくさんあるんですけど、キャラクターは人間以上に丁寧に丁寧に育ててやることが大切だなと、これからのキャラクターの管理には時間の概念が必要になってくるだろうなというのが私の考えです。

  • ごめんなさい、90分まるまるいっちゃいました。質問ちょっとだけ受けましょうか。きょう、ごめんなさいね。いけると思ったけど、やっぱり多すぎたな。毎回、そうです。来年、反省します。女性優先でお話を聞きましょうか。キャラクター、声優さんが...。

  • 難しいところだよね。声優さんってキャラクターによって、分けてるところもありますよね。難しいよね、声優さんが一つのキャラクターになっちゃってるわけですよ、逆にいうと、声優さんが一つのキャラクターになっていて、今回は、なんとかっていうキャラクターに化けてるって感じなんだよね。だから、たぶん昔の声優さんっていうのは絵の裏側にいる人だったから無色透明な感じだったんだけど、

  • 今は、どういう人がしゃべっているか見て分かるようになっちゃって、小野大輔さんとか、誰々さんとか、声優さんが、ひとつのキャラクター、タレントと同じようにキャラクターになって、この人がさらに化けて演じてるっていうふうになってきたんだろうなって気がします。答えになってるかな。次、男性の人。どうぞ。

  • それは今のSNSの時代っていうのは特に、SNSで投稿することによってキャラクターが、どんどん、どんどん、一人歩きしていくっていうのはあると思うんですよね。昔だとキャラクターの個性とか、いわゆる、そのキャラクターがヒットするかどうかっていうのは、ほとんど作った原作者に

  • すべて負うところが多かったんですけど、特に最近はキャラクターを作って、そのキャラクターのやっぱり、みんなファンの意見とか...。おっしゃるとおりファンの意見とか、さっき言った声優さんもそうだよね。こういうので、どんどん設定が作られていって動いていくっていうのがあるんですよね。もしかすると最初に設定していた性格とは変わった方向にいくこともありますよね。

  • そのセレンディピティーとか、ヒットキャラクターができるかって、それが分かれば苦労はないんですよね。ただ、僕がたまたま、どーも作ったときに大切にしてたのは、やっちゃいけないルールを、きちんと決めるっていうことでしたね。

  • どーもも最初は気持ち悪いとかいろんなことを言われたんです。そのときに一つだけ重要で、僕らは大事にしていたことがあって、やっちゃいけないルールをとにかく守るっていうことをしたんですね。それは、どーもっていうのは、今は、ご当地どーもなんかでいろんな服、着てますけど、どーもが初めて出てたときには、どーもって服を着ないっていうルールがあったんですよ。

  • そのときに、どーもが、ちょっと人気が出てきたもんですから、NHKの営業がどーもくんを使って、いろいろご当地ビジネスしたいみたいなことを言ってきたんですよね。ちょうどどーもくんができたのが1998年です。サンリオがいわゆる、ご当地キティちゃんっていうのを始めたのが同じ時期なんですよ。ちょうどサンリオがご当地キティで、非常にバカ当たりしていた時期だったので、NHKのほうが、ちょっと山っ気を出してね、そういうのやりたいみたいなことを言ってきたことがあったんですね。

  • そのとき僕らが言ったこのが、どーもっていうのは、服を着ないんですと。だから、そういうことをやっちゃいけないんだと。ちょうど2002年、ここにも載ってるけど、どーもにね、ワールドカップのときに、ワールドカップの服を着せようっていう話があったんですよ。はっきり言って日本にワールドカップが来るなんて、これを逃したら、たぶんないんですよね。そのときにケンケンガクガクで、ワールドカップの服着れるのに、お前らやらないのか?と、どーもは、服着ません、靴も履きませんっていって、

  • 僕たちはキャラクターって年をとることで、どーもはまだ、よちよち歩きの幼稚園児だと、このときにまだ、いろんなことはやらせられないって突っ張ったんですね、これが、今みたいに、どーもくんが、人気キャラクターになってたら別ですよ、だけどどーもは生まれたばかりで99年ぐらいに生まれたので、まだ、3つか4つですよ。まだキャラクターとして確立してないし、こんなときに、いろんなことやっちゃったら、ぐちゃぐちゃになるからだめだって言って、突っ張ったんですね。

  • それから数年後に、しかたなく、ご当地キャラやったんですけど。やらないルールですよね。これだけはやらないというルールを決めておくと。禁じ手、これをやったら戻れないことってあるわけですよ。いろんなキャラクターで。それを決めておくことでしょうかね。キャラクター作りに重要なのは。常に思ってることって。答えになってたかな。ごめんなさいね。あと、どなたか、いらっしゃいますか。なんでも聞いてください。

  • いいよ、疑問でも、話長いとか。なんでもいいよ。いなかったかな。なんかありますか?

  • あんまり、こういうキャラクターを系統だてて研究してる人って、いないんだよね。バカにされているわけですよ、おおむねがね。非常に、キャラクターはビジネスとしても大きいし、研究のしがいがある分野だと思ってますけどね。